昨日、私たち、アラフォーにとって、忘れられないスーパースターである、ピート・バーンズさんが亡くなったと、衝撃のニュースが入ってきました。
これまでネットでは何度か話題になっていましたが、この訃報により、久々に写真を見た方は、現在の姿に大層驚かれたのではないでしょうか?
ピート・バーンズさんと言えば、80年代ユーロビート全盛期時代に、次々とHit曲を飛ばした、Dead or Aliveのボーカリストですが、私たちアラフィフは、Discoのお立ち台の上で、彼らの曲がかかると熱狂し、ボディコン服で踊り狂ったものです。
当時ピート・バーンズさんは、その妖艶な容姿で、ファンを虜にしていました。
まさかあのピート・バーンズさんがその後、稼ぎをすべてつぎ込み、整形依存となるとは、当時はもちろん思いもよらないことでした。
自分の鼻に対する、コンプレックスがあり、鼻を治したことが整形の始まりと言われておりますが、これが整形前のお顔。
もちろん我々から見たら、コンプレックスなど微塵も分からない、美しいお顔立ちです。
そして、整形後。(衝撃注意)
整形依存の人の常ですが、もはや美しさとは程遠い所にいってしまっていますが、本人はそれでもやめられない訳です。
大抵の場合、身体にも不調をきたすこととなり、事実、ピート・バーンズさんも、唇に注入したジェルが原因で、肉芽腫から腎不全となり、以前にも死の危機に直面していたとのことです。
と、こうなると一般の方々にとっては理解不能で、「もうやらない方が綺麗なのに」と思われると思いますし、もちろんやっているご本人も、心のどこかで
「これはマズい」と思っていたと思いますが、この頃には強迫観念で、やめることが出来なかったのだと思います。
依存症の強迫観念は、普通の人には理解できない苦しみです。
そわそわし、イライラし、やり始めるまではいてもたってもいられなくなります。
依存行為以外は、何も考えられず、とにかく楽になるために、「少しだけやって止めよう」となってしまい、結局やり始めればとことんまでやってしまいます。
皆さんも、大舞台に立つとか受験前とか、何か緊張するシーンってありますよね。
直前には、その緊張もピークに達するじゃないですか。
しいていうならばそのピーク時の強烈なドキドキ、そわそわ、不安や焦りみたいな感覚がず~っと続くのです。
それは依存行為を始めるまで続き、手を出すとすっと収まっていくのです。
しかし本人は「やめよう」と格闘している「意志」があるので、「自分は依存症ではない」と錯覚してしまいます。
依存症というのは、やめる気のない人、つまり「その行為を続けることに、罪悪感も、葛藤もない人のこと」という誤解があるためです。
そして、ピート・バーンズさんの場合、もう一つ忘れてはならない、重要な因子があります。
それはお母様が、第二次世界大戦中、迫害を受けドイツからオーストリアに逃げたユダヤ人で、アルコール依存症者であったということです。
そして崩壊状態にあった家庭の母親役を、幼いころのピート・バーンズさんが果たしていたとのことです。
まさに典型的な機能不全家族に育った、アダルトチルドレンがピート・バーンズさんでした。
そう考えると、幼い頃、感情を抑圧するしかなかったピート・バーンズさんが、整形にはまってしまったことも理解できます。
いえ、趣味で音楽を始めた頃には、感情やストレスのはけ口として、音楽が機能していたこともあったでしょう。
ところがその音楽が莫大な資産を産み、新たな重圧の元となった時から、おそらく別の何かで感情やストレスを発散させる必要があったのでしょう。それが整形であったとしてもなんら不思議はありません。
ピート・バーンズさんが心穏やかに過ごせた時代はいつだったのでしょうか?
お母様は、大層美しい方だったと言われておりますが、その美しさが、何らかの影響を与えていたのでしょうか?
ピート・バーンズさん、我々世代の青春を華やかに彩ってくれた方。
享年57歳。
早すぎる死でした。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2016年10月26日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。