米大統領選が終わらないと、本当の進路を決められないのが今の日本

C-Spanより引用:編集部

ヒラリーのアメリカになるのかトランプのアメリカになるのかで、アメリカの進路が大きく変わってくる。

これまでアメリカと航路を共にしてきた日本が、アメリカと離れて単独行動できないのは、皆さん、百も承知のことである。

先導役のアメリカのキャプテンが変われば日本も変わらざるを得ない。

アメリカの新しいキャプテンが、キミは一人で進め、と言えば、日本としてはそうせざるを得なくなる。
ヒラリーならば現在の航路をそのまま進んでいればいいだろうが、トランプとなれば目的地も進路もガラッと変わってしまうはずである。

アメリカの大統領選が終わるまではもうしばらく様子を見た方がいいだろう、というのが常識的な判断である。
日本だけが突出しない方がいい。いつでも舵を切れるように、ほどほどの距離を置きながらほどほどのスピードで進むのがいい。

今日予定されていたTPP関連法案の衆議院での採決は、とりあえず見送ったようだ。
4日には採決すると報道されているが、トランプがヒラリーを凌ぐほどの勢いを示したら、4日の採決もとりあえず延期しておこうということになるのではなかろうか。

ヒラリーが絶対的に有利だと思っていたが、FBIがメール問題の捜査を再開すると表明したことによって情勢が一変した。今の段階で1パーセント程度の差しかついていないという世論調査のようだから、こういう時は大体追う立場の方が強くなる。

投票日にはヒラリーとトランプの優劣が逆転する、などという予想が出てくるようになると、雪崩を打つようなこともあるかも知れない。

予断を許さないような厳しい選挙情勢だ、ということになれば、自民党も、ちょっと待て、と言いたくなるはずである。

TPPについての審議は相当進んでいるようだが、不安が解消されたとはとても言えない状況である。
ヒラリーもトランプもTPPについて消極なり、積極的反対の意思表示をしている段階で日本だけ急がなければならない理由が今一つピンと来ない。

再交渉の余地をなくすために、まずは日本が率先して批准するんだ、などと言っても、アメリカがどうしてもやり直しだと言えば、日本としてこれを最後まで拒否することは難しい。

まあ、無理はしないことである。

いつもの自民党らしくないのが、少々不思議である。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。