高カロリーは危険?適度な摂取で素敵なウインターライフを

写真:ケンズカフェ東京にて撮影

皆さまは、暑いと食べたいと思わないのに、寒くなると無性に食べたくなるものがないだろうか。実際に、寒い時期には「味が濃く」「甘い」ものが売れるようになる。メニューを考えれば、夏は和風、冬は洋風が売れる。

気候変化により売れ筋予測をする「ウェザーマーチャンダイジング」という手法がある。これによれば、気温15度以下では鍋が売れる。気温22度を超すとビールが売れ始めて、27度を超すとアイスクリームが売れて、30度に達するとかき氷が売れ出す。

コンビニはどうだろうか。気温が15度以下の寒い日がつづくと、おでんが売れる。しかし冬限定メニューのイメージが強い。実は年間を通じた定番商品でありながらも、寒いと通常より30%以上も売上げが増える商品が存在する。チョコレートである。チョコレートは口内で溶けながら温かさを感じることができる商品である。

今回は、ケンズカフェ東京(東京・新宿御苑前)の氏家健治シェフ(以下、氏家)に、チョコレートの魅力について伺った。同店のガトーショコラは、日本ギフト大賞を受賞し、フジテレビ「有吉くんの正直さんぽ」、TBS「ランク王国」、日本テレビ「ヒルナンデス! 」「嵐にしやがれ」などで紹介されたことがあるので、ご存知の方も多いことだろう。

■フランスやイタリアが肥満大国にならない理由

しかし、チョコレートは「味が濃く」「甘さ」があるため、カロリーが高いのではないかという不安がある。参考までに、2015年度、1人辺りチョコレートの消費量を整理すると次のとおりになる。1位.ドイツ12,2kg、7位.フランス6,6kg、10位.イタリア3,9kg、17位.日本2,0kg(日本チョコレートココア協会などの統計データ参照)。

ヨーロッパはチョコレートの消費量が多い。多くの人が美食の国と聞いて思い浮かべるフランスでは2010年に「フランスの美食術」が無形文化遺産に登録されている。イタリア料理も世界中で愛されている。仲間とのんびり語り合いながら、美食、美酒に酔いしれる食文化の原点は古代ローマにさかのぼるともいわれる。

ワインやビールなどのアルコール類を嗜みながら、高カロリーのフレンチやイタリアンをいただく。さらには大量のチョコレートを食するのに、フランスとイタリアには肥満が多い印象が少ない。なぜだろうか。

米国の『fitnessfrenzie.com』によれば、肥満大国の国別ランキングは次のとおりである。1位.メキシコ、2位.アメリカ、3位.ニュージーランド4位.チリ、5位.オーストラリア、とつづくが、フランスとイタリアはベスト10位にもはいっていない。

――「これはチョコレートの選び方と食べ方にあると思います。カカオマスの含有量の多い上質なものを選んで食べているのです。ハイカカオチョコレートとも呼ばれるカカオマス70%以上のダークチョコレートは肥満の影響も少ないといわれています。フランスにおけるダークチョコレートの販売量は全体の3割以上に達しています。」(氏家)

――「チョコレートを食べると、血糖値が早く上昇しますから、食欲が抑えられるのも肥満の予防につながっていると思います。カカオ含有量70%以上のチョコレートを1日50~60g程度なら、肥満に影響は無いでしょう。」(同)

■本格的な冬の訪れの前に食品の効能を理解しよう

この機会にチョコレートにある多くの効能を知ってもらえればと思う。また、氏家も「効能を理解したうえでチョコレートを召し上がってください」と次のように述べている。

――「カカオ含有量が多いチョコレートには、“エピカテキン”が作用し体重を減らす効果があるという臨床結果があります。“エピカテキン”は、チョコレートに含まれているポリフェノールの一つですが、高血圧の予防や改善に効果があるといわれています。」(氏家)

――「これらのハイカカオチョコレートの脂肪成分は良質であることから、血中の悪玉コレステロール値が上昇しにくいといわれています。適度な摂取は健康にも効果的です。食べるタイミングや量に気をつけながら召し上がってください。」(同)

確かに、チョコレートに含まれるポリフェノールには、動脈硬化などを引き起こす活性酸素の働きを抑制する働きがあることは広く知られている。

――「カカオはストレスホルモンを減らす作用があるともいわれています。さらに、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、食物繊維などを含んでいます。疲労回復にも効果があり、栄養バランスの良い商品ともいえるでしょう。」(氏家)

――「チョコレートは栄養価が高く、アンデス諸国、ギアナなどの南米大陸では『神様の食べ物』といわれ雪山には必ず持参するほどでした。チョコレートについて調べれば驚くのほどの効能に気がつくことでしょう。」(同)

各種チョコレートの情報は、各メーカーのホームページやチョコレート・ココアの製造者の団体である、「日本チョコレートココア協会HP」にも掲載されている。

なお、日本全国のファミリーマート・サークルK・サンクス約18,000店にて、ケンズカフェ東京監修「クリスマスショコラケーキ」の予約が開始されたそうだ。フランス製の上質なチョコレートの極上の口どけを楽しんでみては。

尾藤克之
コラムニスト

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