こんなことで名を売ってどうする、山尾さん

早川 忠孝

流行語大賞公式サイトより引用(編集部)

悪名は無名に優る、というのは、芸能や政治の世界の水を呑んだことがある人の偽らざる実感だろう。

いつまで経っても誰からも注目されないというのは、人気がすべての人たちにとってはなかなか耐え難い。
なんとか注目されよう、世間の関心を引こうとあれやこれやもがく。

関西のとある女性国会議員がやたらと著名人に噛みついてみたりするのはその種のパフォーマンスなんだろうと思っている。
見事にその狙いが当たって、お蔭でテレビ番組への出演回数が増えているようだ。

あれ、この人はどこかの党を除名されて国会議員も辞めたんじゃないかな、などと思っていたが、まだ現職の国会議員である。

なんだかなー、と思うが、それは国会議員としてなんだかなー、というだけで、視聴者から、なんだかなーと思われる役を演じている役者、タレントさんだと思えば、なるほどこういう売り込み方もあるんだなあ、と妙に感心する。

この人の場合は、悪名ではない。
実力がない人があたかも実力があるように持て囃されているわけでもないから、虚名を売っているというのでもない。

まあ、もともとなんだかなー、と思われるような人がなんだかなーと思われるようなことを続けているのだから、まさに素のままである。

有権者の皆さんが判断されればいいだけのことだ。

多分、衆議院の解散・総選挙は近い。

山尾さんが流行語大賞の表彰式に登場したようだ。

受賞語の「保育園落ちた日本死ね」と書かれた匿名ブログを国会の審議の場で紹介した国会議員として表彰されたということだが、山尾さんがこの匿名ブログを書いたわけではないから、山尾さんは流行語大賞受賞作品の著者でも何でもない。

「日本死ね」などという侮蔑用語が入っている言葉を表彰する人たちのセンスを疑うが、自分が作ったものでもない流行語の表彰式に国会議員が作者然として登場し、表彰を受けるというのはどんなものか。

世界にはノーベル賞を受賞しながら授賞式には欠席するという選択をする人もいる。
世間の話題になる、世の中の注目を浴びる存在であり続けるというのは、政治の世界の水を呑んだことがある人には捨てがたい誘惑だと思うが、自分に矜持がある人はただ有名でありさえすればいいなどとは思わないものだ。

有頂天になると足元を掬われる。

表彰されたことがいいことなのかどうか、何とも言えないところだ。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。