非OPEC、減産に合意

ウイーンのOPEC本部で開催されたOPECと非OPECの会合において、ロシアを先頭とする非OPEC11カ国は「2017年1月から6ヶ月間、合計55.8万BDの減産」に合意した、とメデイアがいっせいに報じている。

事前に流れている情報では、ロシアは6月末までに段階的に30万BDの減産を行う、と表明していたが、各国の減産合計は、2017年1月1日時点でどうなるのか、流れている情報だけでは判然としていない。また、OPEC三カ国とともに監視委員会を構成する非OPEC二カ国がどこになるのか、これまた情報として流れてきていない。

これらから読みとれることは、OPECの約120万BDの減産合意をぶち壊さないために、OPECが条件としていた「非OPECの約60万BD減産」を「発表できる程度の合意」に持ち込んだ、ということだろう。

今朝流れているメデイア報道の中から、FT記事の要点を次のとおり紹介しておこう。”Non OPEC producers agree to cut oil output” (around 3:00am on Dec 11, 2016 Tokyo time) というタイトルで、”Global agreement designed to speed end of worst oil downturn in a generation” というサブタイトルがついている。

・OPECは、最後の障壁を乗り越え、2001年以来となる非OPECによる減産合意を勝ち取ることができた。

・非OPEC最大の輸出国であるロシアを先頭に、メキシコ、オマーン、アゼルバイジャンなど11カ国が、土曜日に55.8万BDの減産に合意した(他の参加国は、カザフスタン、マレーシア、バハレーン、赤道ギニア、スーダン、南スーダン、ブルネイ)。

・サウジのファーリハ・エネルギー相は土曜日、(非OPECによる減産)合意が脆弱(fragile)な市場を管理(manage)する新しいフレームワークを作り出すことに役立つことを期待している、と語った。サウジは先週、合意した減産量より大きな減産を行い、1,000万BDを少し上回る水準にすると付け加えた。

・サウジはまた、OPECの3,250万BDへの減産合意は、ロシアを先頭とする非OPECが減産に参加することが条件だと言っていた。コロンビア大学のJasom Bordoffは「今回の非OPECによる減産合意は、非OPECも減産の重荷を分かち合うべきだと言っていたOPEC、特にサウジにとって勝利である」と指摘する。

・コンサル会社PettromatrixのOlivier Jakobは「二大(産油)国であるロシアとサウジによる減産合意はきわめて重要だ。石油市場を変革せしめる新しい地政学的ダイナミズムが生まれたことになる」と語った。

・(減産合意が遵守されるかとの疑念があることに対し)Natixis社のAbhishek Deshapandeは「順守がある程度なされても、今回の合意が、これまでの予測より早く、2017年の早い時期に市場がリバランスすることを後押しする、ということにも一定の疑念がある」と言う。

・OPECの事務局長Berkindoは「これは歴史的な会合だ」と語った。

・ブレント原油価格は、OPEC総会前の46ドルから12 月10日(金)には54.33ドルまで上昇しているが、2014年半ばの115ドルの半分以下だ。

・業界は、今回の価格上昇により米シェールを再生するかどうか注目している。

これで焦点は、OPECおよび非OPECが減産合意を遵守するかどうか、に移ったといえるだろう。

ロイターが12月10日、「サウジ、欧米への原油販売削減通知 非OPEC会合を控え」と題するニュースを報じていたが、文面通りに読むと誤解をもたらすだろう。「不可抗力(Force Majeure)」という言葉が使われていないことに留意する必要がある。サウジは、これまで締結している契約に基づき、出来うる範囲で合意した減産に合致する受渡しを行う、ということだろう。
(文字数制限があるので、原油取引実務を紹介できないのが残念だ)


編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年12月11日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。