たけしさんまで二重国籍に言及。メディアは今年こそ変わるか

アゴラ編集部

出典;オフィス北野、『蓮舫「二重国籍」のデタラメ』より

あけましておめでとうございます。アゴラ編集長の新田です。

けさの渡瀬裕哉さんの年頭エントリーでも指摘されるように、昨年は、世界各地においてポピュリズムの台頭を通じ、民衆がエスタブリッシュメントから、自己決定権を取り戻す現象が顕在化した一年になりました。そして、同時にそれは「Facebook、Twitter、ネットメディアの発達は言論空間・政治空間の民主化を促し、一部の既得権による情報取得・伝達手法の独占状態は実質的に終わった」(渡瀬氏記事)ことを示す意味もありました。

その典型だったのが、旧年の話題で恐縮ながらアゴラが問題提起した蓮舫氏の二重国籍問題でしょう。産経新聞以外のマスメディアは取り上げることにおよそ消極的で、週刊文春も年末の蓮舫特集では、あまり言及されず、首相候補たる野党第1党党首の国籍問題という国益上、重要なイシューが「黙殺」されることに、ネットの可能性と現時点での限界の両方を感じさせました。

率直に申し上げると、サイトのブランドコントロールをする立場からすれば、世の中の理解が広がり難いトピックを追及しすぎると、「キワモノ感」が先行するリスクはあります。民進党を嫌悪する人たちの“エンタメ”に終わってしまわないか、という危機意識もありました。

しかし、「継続は力なり」。細々とでも発信し続けていくと、ネットだけでなく、リアルでも共感する方々が広がっていることがわかります。昨年秋から冬にかけ、セミナーの参加者、あるいはアゴラ以外の場所で初めてお会いする皆様から、「既存メディアが二重国籍問題を取り上げないのはおかしい」と、感想をいただくことが目に見えて増えました。それらの人たちは、決して“ネトウヨ”ではありません。トランプ氏の当選を「想定外」としていた問題も含め、既存メディアへの不信感が一般社会でも想像以上に広がっているように感じました。

そしてテレビの世界で大御所と言われる方でも、ポリコレ的な制約の少ないスポーツ紙では、本音を包み隠さず話されます。あのビートたけしさんが、蓮舫氏の二重国籍問題に言及されていました。

安倍政権は長期になってるね。中曽根康弘元首相を超えて、戦後歴代4位だもん。ちょっと、やっぱり、野党第1党の民進党が蓮舫を担ぎ出してるのがおかしいよ。力ないもん。もし政権交代したら、蓮舫が総理大臣かい? 有権者だって、あれに政権渡すわけないじゃん。冗談じゃないよ。二重国籍なんてスパイみたいじゃん。台湾経由の中国のスパイだったら笑うだろうね。アブねーって。【たけし世相斬り】小池都知事は言ったことを一つも実現できていない(東スポWeb)

「二重国籍なんてスパイみたい」は、たけしさんらしい毒舌で、私たちもさすがに同調できませんが(苦笑)、しかし、このコラムの本題である小池都政の“限界”も含めて、人々が薄々感じている問題意識を顕在化させるところに、「世界の北野」の健在ぶりを感じさせます。そういえば、昨年のアゴラの人気記事の一つにトランプ氏をたけしさんになぞらえるエントリーもありましたが、たけしさんがイタリアの「五つ星運動」の党首のように、本気で政治運動を起こしたら、最強のポピュリストになってしまうかもしれません。

今年は1月下旬のトランプ氏大統領就任から、昨年以上の波乱含みの1年になるのは間違いありません。国内では、夏の都議選、そして年内に予測される解散総選挙の動きが注目されていますが、選挙になると政治的公平性という縛りのかかる既存メディアの限界を尻目に、アゴラでは本質をえぐる論考を今年も発信していきたいと思います。

ただ、既存メディアを敵視するばかりでは、過度期の立ち回り方としては賢いといえない部分もあります。既存メディア、ネットそれぞれにできること、できないことがあります。それを戦略的に計算しながら、私たちやアゴラ読者の皆様が目指す世界観を発信していくことも重要です。

昨年は、池田信夫が「今さら聞けない経済教室」(東洋経済新報社)を上梓し、二重国籍問題関連では、私が「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」(ワニブックス)、八幡和郎さんが「蓮舫『二重国籍』のデタラメ」(飛鳥出版)をそれぞれ刊行しました。書籍を通じて、ネットでは届かない皆さんにも理解は深まっていると感じます。

また、今年は年頭で、池田信夫が民放のBS討論番組で大物経済論客とアベノミクスについて激論を交わす予定です(詳細は近日発表)。私は今年も引き続き、TOKYO MX「モーニングCROSS」のコメンテイターに出演します。メディアの激変期にどう臨んでいくか、既存メディアの現場で働く“同志”の皆さんとも知恵を出し合いながら、一歩、二歩、前進していく所存です。

本年もどうぞよろしくお願いします。

2017年1月2日
アゴラ編集長 新田哲史

池田 信夫
東洋経済新報社
2016-04-29