シェフに聞いた!フランスのお正月ってどんな感じなの

写真は氏家。ケンズカフェ東京にて。

皆様はフランスのお正月をご存知だろうか。大晦日は友人と集まって賑やかに迎えるのが普通だそうだ。そして驚くなかれフランスにも日本と同じように門松が存在する。

今回は、ケンズカフェ東京(東京・新宿御苑前)の氏家健治シェフ(以下、氏家)に、フランスの大晦日や正月の過ごし方について聞いた。同店のガトーショコラは、フジテレビ「有吉くんの正直さんぽ」、TBS「ランク王国」、日本テレビ「ヒルナンデス! 」「おしゃれイズム」「嵐にしやがれ」などで紹介されたことがあるので、ご存知の方も多いことだろう。

■フランスにも門松はあった

――年末になると、フランスの街中である植物が売られている光景を目にすることが多くなる。ある植物とは“ヤドリギ”である。ヤドリギは広葉樹の葉はすっかり落ちている冬に、青々とした葉をつけている。さらに真珠のような実を付けていることから、不思議な力を秘めていると昔から思われていた。ヤドリギはフランスの門松にも近いと言われている。それが次のような理由からである。

「フランスにはノエル(クリスマス)や大晦日の深夜0時になると全員でヤドリギの下に行き、皆で抱き合って新年を祝います。フランスやヨーロッパでは、ヤドリギの小枝を吊るし、人びとは幸福、安全、幸運を祈るのです。ヤドリギは幸福をもたらし、災いやから守る植物として飾りつけられています。ヤドリギは玄関の扉の上など高いところに飾らなければなりません。」(氏家)

「ご馳走もたっぷりあります。日本の大晦日に年越し蕎麦を食べるように、フランスでは新年を迎えて幸福がもたらされることを祈るための行事です。」(同)

――そしてパーティは明け方まで続くそうだ。寝る時間もなく昼からはまた別のパーティが待っている。大晦日の午前0時を過ぎると「新年明けましておめでとうございます」と挨拶が交わされるがお祭りはノンストップで続くようだ。

「日本では紅白歌合戦を見終わったら、除夜の鐘を聞きながら厳かにとお正月を迎えますが、フランスは対照的です。そして新年の挨拶は“ボンアネ(Bonne Année)”ではじまります。フランス語で『新年おめでとう』は、『ボンアネ(良い年を)』になります。これに、『メイエール・ヴー(お祈りします)』を続けることもあります。『ボンヌ・サンテ(健やかに)』を付け加えることもありますが、形式ばった堅苦しいものではありません。」(氏家)

――フランスでは年賀状の代わりにグリーティングカードを送る場合があるそうだ。しかし原則的にハガキを送る習慣が無いらしい。

「商売をしている人がお客様に送ったり、会社が取引先に送るような類のものです。年賀状のように事前に切手が貼ってあるハガキもありません。」(氏家)

――フランスに行く機会があったら、ぜひとも確認してもらいたい。

■お正月専用スイーツをご存知ですか

「フランスでは、お正月明けの最初の日曜日にガレット・デ・ロワというスイーツを食べるのがお約束です。この風習は、古代ローマ時代にさかのぼります。ケーキの中には、フェーヴ(豆粒のようなオモチャ)が隠されてます。このお菓子を家族や友人また職場で切り分けて食べ、フェーヴが自分のケーキに入っていたら、幸運が1年間継続するといわれてます。」(氏家)

「ガレット・デ・ロワはフランスの伝統なスイーツです。『ガレット』は円形のケーキ、『ロワ』には王様の意味があります。最初、フェーヴは、そら豆が使われていましたがプレスチック製や陶器のオモチャにかわりました。」(同)

――いかがだろうか。このような話題に思いをはせながら新年を過ごすのも悪くないだろう。なおケーキの中にはフェーヴをお忘れなきよう。盛り上がりそうだ。

尾藤克之
コラムニスト

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