予め改元の時期が明示されるというのがいい

平成29年の新年を迎えられた皇室ご一家(宮内庁サイトより:編集部)

天皇の譲位(生前退位)問題の解決の方向性が段々明らかになってきた。

今朝の新聞各紙がそれぞれ大きく報道していたから、複数の政府関係者から各マスコミに対し、かなり確実性の高い情報として示されたということだろう。

勿論まだ有識者会議の報告もなく、国会での議論も正式にはどこでも始まっていないのだが、こういう類のリークは国民の合意を形成していく上では実に有効だから、大多数の国民の同意なり共感が得られるような解決策を求めている私としては大歓迎だ。

世論が芳しくなければ、あれは単なる一つの考え方であって、正式には決まっていない、とリークした政府関係者限りで撤回してしまえばいいし、大方の世論がその方向性を支持するようであれば、さらにその方向での具体案の作成なり、細部の制度設計の作業を進めればいいのだから、まさに絶妙なタイミングでの政府関係者のリークである。

お、これは知恵があるな、と思ったのは、2030年1月1日から新元号を使用することにして、新元号は少なくともその半年前に確定しておく、という考え方である。

一般国民の生活を考えると、年の途中で元号が変わるというのは実に不便で厄介なものである。

予め次の元号が明らかになっていると、皆、それなりにその時に備えることが出来る。
これまでは天皇の崩御に伴って新天皇の即位と新元号の制定が行われてきたが、元号の変更によって相当の混乱が生じるのはどうしても避けられなかった。

天皇が皇帝のような存在で、天皇の崩御で王朝が変わると言うのであれば確かに天皇の崩御と元号を同調させる政治的な意味合いが大きかっただろうが、象徴天皇制を取る現在の日本において本当にそうしなければならないのか、ということについてはこれまで殆ど議論されてこなかったテーマだろうと思う。

社会生活上の不便を解消するために元号制度の廃止を叫ぶ人もいたくらいだから、元号が自社会では結構厄介な存在だったことが了解されるはずである。
公文書では元号を使用するが、ビジネスの世界では大体西暦で通してしまう、というような人も多かったはずだ。

私が普段作る文書でも、西暦で表示した年月日と元号で表示した年月日とを併記することがある。

最近は、今日は何日?とわざわざ確認しなければならないこともあり、年を経るごとに元号と西暦を一致させることが難しくなっていくな、と思っていたところである。

改元の時期が決まっていれば、こうした不便が相当解消していくだろうと思っている。

ここで大御心などと大袈裟な物言いをするのは相応しくないと思っているが、多分今上天皇の御心の一端はこの改元の時期の明確化で現実化されるのではなかろうか。

まあ、それでも小林よしのりさんはあれやこれや言われるのかも知れないが、改元の時期の明確化はいいことだ、と私は確信している。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。