小池を当選させ、蓮舫を追い詰めたネットの使い方

八幡 和郎

産経新聞より引用(編集部)

蓮舫民進党代表の二重国籍問題では、一般紙もテレビも、週刊誌すらほとんど報道しないまま、『夕刊フジ』とネットメディアの「アゴラ」が一般読者の協力を得ながら追い詰め、ついには本人に二重国籍だったことを告白させた。

夕刊フジとアゴラの読者は、そのドラマをリアルタイムで体験されたわけだが、あらためて、ネットでの動きなども含めた時間的経過を、二重国籍問題一般とか、蓮舫氏の政治家としての資質の問題とあわせて、「蓮舫『二重国籍』のデタラメ」(飛鳥新社)というかたちでまとめた。

時系列でくどくど書くのがよいか迷ったのだが、読者からはこの部分が面白かったと候好評だし、政治家からはとくに引きずり込まれて読んだと言われている。

私が蓮舫問題で使った材料は、ほとんどが過去に公表された情報だ。自分で得た情報もあるが、そんなものは、ニュースソースを明らかに出来ないので使えなかった。

ネットですでに公知の情報といえるものを探して問題提起を書きアゴラで拡散し、私自身のフェイスブックのページで議論や情報交換し、ネット上に現れた反響を検索機能で拾い、また、検証することの繰り返しで状況は展開していった。

そして夕刊フジが事態の展開を紹介し、産経新聞が記者会見などで追求し、さらに、それを本紙もさることながら電子版で詳細を流したことで深化していった。こうした手法は、政治の世界で広く応用可能性があると思う。

昨年は、東京都知事選挙で、鳥越俊太郎候補が、「週刊文春」による過去の淫行疑惑の報道で撃沈された。しかし、蓮舫氏については、週刊誌すら展開のスピードについていけなかった。。

アゴラの新田哲史編集長も、「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?~初の女性宰相候補、ネット世論で分かれた明暗 」(ワニブックス)という本を書いた。

こちらは、本人が超一流のメディア・プロデューサーというべき小池氏がネットをいかに巧妙に使って成功したかを旧来型メディアの感覚でしか動けてない蓮舫氏との比較で論じたものだ。

私は小池氏の都知事選挙やその後の「都議会のドン」との戦いの斬新さを源義経に似ていると評してきた。しかし、源義経が戦いでは勝利したが、そのあと何も生み出せなかったのと同様のリスクを感じさせなくもないのが心配だ。

豊洲でも五輪でも、そのことでドンを頂点とする利権構造を崩すことの効果を考えれば意味があると思うが、それぞれの問題では、問題への取り組みを長期化する事に伴うコストをまかなえないのでないかという気がする。だから、小池知事が目算をたててやっているものと信じたいというところだ。

本当に意味のあるものにするのは、抜本的にコストを削減できるウルトラCがなくてはなるまい(私の提案は中国企業など海外企業の参加と特区的発想での無意味な安全性排除だ)。

米国ではトランプ氏がマスコミを味方につけるのでなく、攻撃することで人気を博し、大統領になった。あらゆる意味でメディアの常識は崩れてきたのである。

八幡和郎
飛鳥新社
2016-12-21

 

 

新田 哲史
ワニブックス
2016-12-08

 


編集部より:本稿は、八幡和郎さんが今週の夕刊フジで連載中の「日本に迫るリスク」から、17日掲載の原稿に加筆したものです。