なぜ、自分のお金なのにATMから一日50万円しか引き出せないのか?

内藤 忍

珍しくまとまった現金が必要になったので、ATMで引き出そうとしたら、一日の引き出し上限が50万円であることに気が付きました。法律で縛られている訳では無いようですが、どこの銀行のATMでもこの50万円というのを上限の基本にしているようです。

仕方が無いので、通帳と印鑑を持ってメガバンクの窓口で手続をしました。窓口の人の話では、店頭なら一日の引き出し上限は無いそうです。残高さえあれば1000万円でも可能とか。ただし、高額の引き出しの場合は、写真付の本人確認書類の提出を求める場合があると聞きました。ATMの厳しい制限とは対照的な対応です。

ATMの引き出し限度額が制限されているのは、キャッシュカードが盗まれて悪用される場合を想定してのことだと思います。しかし、この50万円という制限は、私には中途半端で何とも使い勝手が悪いのです。銀行によっては、この上限金額を引き上げられるところもあります。しかし、それもまた店頭に出向いて本人確認書類などを提示して手続することが必要になり面倒です。

自分の口座のお金なのに、なぜATMからの引き出しにだけ、銀行が制約をかけるのか、何とも不思議な過剰サービスです。50万円を超えて現金引き出しする機会はたまにしかありませんが、一律に制限をかける必要は無いと思います。自分で盗難時の防衛策は立てられるからです。

キャッシュカードが盗難・紛失して悪用されるのが怖い人は、まとまったお金をキャッシュカードを作らない預金口座に入れておく。そして、キャッシュカードを持ち歩く普段使いの銀行には、残高を20~30万円程度しか入れないようにする。そうすれば、万一の場合があっても、引き出される金額は残高までに限定されます。自分でリスク管理すれば、銀行におせっかいな管理してもらう必要はありません。

そう言えば、ATMの操作をすると「この取引は振込詐欺ではありませんか?」とメッセージが出てきて取引を続けるかどうか聞いている銀行もあります。詐欺の被害に遭う人は減らさなければいけませんが、全ての利用者に毎回同じメッセージを表示して、果たして犯罪抑止効果はあるのでしょうか。

銀行には不思議なことがいっぱいあります。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。