ドル安円高になっても米フォードに乗る日本人で溢れることは想像し難い

東猴 史紘

(写真は2017年年始にワシントンDCへ訪れた際撮影したもの)

2月7日22:30に発表された米貿易収支は事前予想の450億ドルの赤字だったのが、僅かながら縮小し435億ドルの赤字となりました。ただ発表直後のドル円相場に反応は見られませんでした。

しかし、今回の発表で私たち日本には不都合な真実が判明しました。米貿易赤字の相手国の2位に日本が浮上してしまったからです。米貿易赤字は全体で約7343億ドルで、その約5割が中国(3470億ドル)が占めているのですが、日本は689億ドルで約1割を占めています。具体的には以下の順位と割合になりました。

[米貿易赤字の国別割合]

1.中国 47.3%

2.日本 9.4%

3.ドイツ 8.8%

4.メキシコ 8.6%

5.その他 25.9%

(2016年モノの貿易収支)

さらに浮き彫りになったのは、日本が米国の乗用車を全然輸入していないという事実です。2016年に米国が日本から輸入した乗用車は392億6100万ドルで、逆に日本が米国から輸入した乗用車は5億1800万ドルでした。

日本時間の2月11日にワシントンDCでトランプ大統領と安倍首相の日米首脳会談が開かれますが、安倍首相には実にタイミングが悪い発表だったことでしょう。トランプ大統領は再三に渡って米国の製造業の衰退を日本の円安が原因と指摘しているからです。

ただし、日本人の感覚で言うと本当に米国車が日本で売れないのは為替水準だけが原因なのでしょうか?

安倍首相は国会で「日本で欧州車は結構あるが、米国車がないのは理由がある。広告もしておらず、左ハンドルではなかなか(難しい)というのは、これまで米側に言ってきている」と国会で答弁しましたが、日本人としてはこの安倍首相の答弁が、一番しっくりくるのではないでしょうか。

日本人に買ってもらいたいなら日本人好みの車を作らなくてはいけません。性能でTOYOTAに負けるのであれば、デザインで勝負するとか。この点、米アップルが参考になるでしょう。日本人も何も性能だけで車を選ぶ訳ではないので、BMWやベンツのような高級感溢れるデザインにして我が国の事を徹底的にリサーチしてマーケティングすればきっと今よりは売れますよ。

今のままのフォードでは、たとえドル安円高になっても日本人が乗っている姿を思い描くことは困難です。

 

東猴史紘

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