老後に必要なのは「1億円」ではなく「キャッシュフロー」

ありがたいことに昨年出版したこちらの本がまた売れているようです。老後のお金の不安を解消するには、資産ではなくキャッシュフローが必要だということが、少しずつ理解されてきているようです。

「老後に安心できる生活をするためにはいくら必要?」というのはお金に関する定番の質問です。仮定を設定すれば必要額を機械的に計算できますが、そもそも資産を持っていれば安心という発想が間違えているのです。

例えば「60歳で1億円」持っていたとしても、そのまま保有しているだけでは、毎月使う毎に残高は減っていきます。もし毎月30万円を使っていくと、80代後半には1億円はゼロになってしまいます。これではお金の安心には程遠い状態です。「何歳まで生きるか」というのは不確定ですから、いくらあれば安心かという「資産額」の議論には結論は無いのです。

だから、「資産額」ではなく「キャッシュフロー」から老後のお金を考えることが大切です。キャッシュフローとは定期的に入ってくるお金の流れのことを指します。

私が知っているシニアの年金生活者は、国債を解約して中古ワンルームマンションを2戸購入しました。それまで国債から入ってくる金利は年間で2万円程度。それを不動産にした結果、キャッシュフローが入ってくる仕組みができ、毎月の手取りは16万円(年間約200万円)になりました。国債の100倍近いキャッシュフローが手に入るようになったのです。

するとそれまでは、ひたすら節約生活をしていたのが、入ってくる家賃収入は使っても良いと考えるようになりました。家賃は来月も再来月も入ってきます。年金と家賃の範囲で生活していれば、将来お金に困ることは無いはずです。お金に左右されない経済的に豊かな老後が実現しました。

もちろん家賃が下がったり、空室になることもあるかもしれません。しかし、不動産の価値がゼロになったり、家賃が永遠にゼロになってしまうことは、まず考えられません。収入は緩やかに減っていくかもしれませんが、持っている預貯金と切り崩していく生活よりずっと安心感があります。

セミナーで「60歳で1億円もらえる」のと「60歳から死ぬまで毎月30万円もらえる」のとどちらが良いかを聞くと、ほとんどの参加者が後者を選びます。シニア世代が資産よりもキャッシュフローを必要としているのは明らかです。

リーマンショック後の金融緩和によって、国債のような債券や預貯金で金利収入を受け取るという運用の魅力が低下しました。株式と債券だけで資産運用する伝統的な運用方法が機能しなくなったのです。それを補うのが不動産をはじめとする実物資産です。

日本では不動産投資に偏見や先入観を持っている人が未だにたくさんいます。逆に言えば、その人たちが不動産投資マーケットに一斉に入り込んでくるまでは、早く始めた「アーリーアダプター」としてメリットを享受できるのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。