都議選までの政局の流れは既に昨年から予想されていた

尾藤 克之

写真は参考書籍書影

千代田区長選の結果は想定内だったが、すさまじい小池旋風を目の当たりにすることになった。さらに、小池氏の判断力にはよどみがない。民進党を突き放して連携を固辞、自らの自前候補を大量擁立する方針へと転換した。小池氏との連携が頓挫した場合、民進党の都議選の獲得議席は10を切るとも予想されている。

いまの政局は昨年には予想されていた

支持率からも、民進党の凋落傾向が止まらないことがわかる。NHKによれば、各党2月の支持率は、自民党(38.2%)、民進党(6.4%)、公明党(2.8%)、共産党(4.4%)、日本維新の会(1.4%)、自由党(0.4%)、社民党(0.7%)、特に支持している政党はない(40.1%)という結果。

民進党は、前回1月調査(8.7%)から-2.3%のマイナス。一方、共産党の支持率が伸びている。1月調査は、3.2%だったので、1.2%伸びており野党第一党をうかがう勢いである。

しかし、民進党は蓮舫氏の就任以降パッとしない。昨年の産経新聞(12月11日)によれば、民進党の蓮舫代表(49)は11日、来年夏の都議選で自身の政治塾から 候補者を擁立する意向を示した小池百合子東京都知事(64)と連携を模索する考えを示したとある。「小池氏の頑張っている点を最大限評価し、古い政治と闘う姿に共鳴もしている。何か協力できることがないか探ってみたい」と新潟市で記者団に述べた。(原文ママ)

この頃は、就任間もないことからまだ発言が強気だった。小池氏と候補者調整の「棲み分け」を打診していたが破談に終わったのかもしれない。実勢の数はわからないが、多くの現職議員が、小池氏の新党入りを模索していると報道されている。個人的には、浮き足立つと、逆効果ではないかと思っている。潔く開き直ったほうが好感されるように思う。

さて、いまの流れは、昨年には予想されていたことをご存知だろうか。都知事選、参議院選、その後は蓮舫氏の二重国籍疑惑を追及したことでネットメディアの位置づけに注目が集まった。ネットメディアの一蹴したのが昨年の一連の流れだった。

いま、話題の書籍がある。アゴラ編集長の新田哲史氏が上梓した『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? 』である。

新田氏は、メディア(発信する側)と受信する側とに分類し、高度化する政治やビジネスの「世論ゲーム」のテクニックに翻弄される恐れがあることを警鐘している。継続的に取り上げられる情報の思惑に世論を誘導されかねない。その一つが、かつての小泉劇場であった。

小泉劇場とは2005年の衆院選にともなう政局のことを指す。小泉総理は民意を問うとして衆院を解散以降は造反者に対して対立候補を擁立する刺客戦術がとられた。こうした政局はテレビ等を通じてお茶の間に流れることになった。視聴者は政局をゲームを見るような感覚で視聴していた。また政局が劇場型であったことから「小泉劇場」と呼ばれた。

結果は自民党の圧勝だったが、勝因は小泉総理の戦術によるものとされた。争点を郵政民営化に賛成か反対かにしぼることで、まずは反対者を斬って捨てる。次に一般大衆にも善か悪かという極めてわかり易い構図で迫った。野党は郵政民営化以外の争点を見出したかったが失敗に終わる。そう考えると、今回の小池旋風はさながら小泉劇場を彷彿させた。

アゴラ3000万PVのノウハウを凝縮

本書は政治経済をジャンルとするノンフィクションである。しかし、堅い政治経済の内容とは異なる。アゴラの昨年同時期のアクセス数(月間)は、単体で300万PV、Yahooニュース等への配信分も含めても全体で700万PVほどだった。それを新田が編集長就任以降は、1年を経ずに、単体1000万PV、全体3000万PVを実現している。

政治経済に関心のある方にはもちろん、ネットメディアに関わる方にも参考になることだろう。最近の施策や流れ、そして結果が把握できるのだからこれ以上の教材はない。ネットビジネスに関わる多くの人に参考にしてもらいたい。

参考書籍
蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?

尾藤克之
コラムニスト

<アゴラ研究所からおしらせ>

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