【映画評】キングコング:髑髏島の巨神

渡 まち子

未知の生物の存在を確認するため、学者やカメラマン、軍人などで構成された調査遠征隊が、太平洋の謎の孤島、髑髏島に潜入する。そこに姿を現したのは、巨大で凶暴なキングコングだった。隊を率いるため高額で雇われた元特殊部隊のコンラッドは、ここが決して人間が足を踏み入れてはならない場所だと理解する。だが島にはコング以外にも、想像を絶する巨大で凶暴な生物が生息していた。調査隊や軍人たちがなす術もなく命を奪われていく中、コングと島の驚くべき秘密が明らかになる…。

映画史上最も有名で人気のモンスター・キャラクターのキングコングを新たな解釈で描くアドベンチャー大作「キングコング:髑髏島の巨神」。1984年生まれでまだ若いジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督は、新しいキングコングを作るにあたってベトナム戦争映画の名作にして怪作「地獄の黙示録」を徹底的に意識している。時代はまだテクノロジーがそれほど発達していない70年代、ベトナム戦争で喪失感を抱えた軍人たち、島に突入する手段はヘリコプターの編成。ジャングルや川をつたってたどり着くのは、原住民と暮らす元軍人がいる奇妙なコミュニティーだ。トム・ヒドルストン演じる主人公の名前コンラッドは「地獄の黙示録」の原作「闇の奥」の作者と同じという念の入れようである。今にもマーロン・ブランドが暗闇からぬっと現れそうだが、そこに登場するのは、体長30メートルの巨大な“守護神”キングコングだ。本作ではコングの誕生の秘密を描き、コングは果たして人間の敵か味方かという謎が軸となる。コンラッドや他数名は、コングの存在が髑髏島のバランスを保っていることに気付くが、部下を殺されたパッカード大佐は復讐に燃え、事態は、人間とコング、そして巨大生物たちとの三つ巴の死闘になっていく。

ここでさく裂するのは監督のオタク魂だ。日本のアニメやゲーム、特撮映画に多大な影響を受けたと公言するだけあって、ベトナム戦争映画、サバイバル映画から一気に怪獣映画へと舵を切り、これから続くモンスターバース(人類と怪獣たちとの闘いを描くシリーズ)への火ぶたが切って落とされるという仕掛けだ。これには、怪獣文化を有する日本人ならずとも熱くなる。コングと宿敵スカル・クローラーのガチのバトルもすごいが、弱くてちっちゃい人間の分際で(?)、コングにガンを飛ばし勝負を挑むサミュエル・L・ジャクソンの無謀な闘志に、シビレつつも笑いが出てしまった。1時間58分、大暴れで大騒ぎだが、大いに楽しませてくれるモンスター・エンターテインメント大作。ぜひスクリーンの大画面で見てほしい。
【75点】
(原題「KONG:SKULL ISLAND」)
(アメリカ/ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督/トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(サバイバル度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年3月26日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Twitterより引用)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。