中古ワンルームは「何を買うか」以外に「2つのこと」を考えよ

マイホーム用のタワーマンションのチラシは以前からたくさん入っていましたが、最近は投資用ワンルームのチラシが新聞折り込みで入ってくることも多くなりました(写真)。

聞いたことの無い会社が販売しているものですが、800万円台から1000万円以下の物件が数多く掲載され、中には8%を超える好利回り物件もあります。このようなチラシを見て、物件を選ぶ場合、注意しなければならないことがいくつかあります。

1つは利回りです。高利回り物件の表示された数字の上に「想定利回り」と記載されているものもいくつか存在します。これは現状が空室で、賃借人の募集をかけている物件であることを示しています。購入しても入居するまでは家賃はゼロですし、募集賃料通りで入居者が決まるとは限りません。インカムを少しでも大きくしたいと考える投資家は、空室物件ではなく居住中のオーナーチェンジ物件を選んだ方が賢明です。

また、ローンについては借入する人の属性によって大きく変わりますが、販売している不動産会社の提携ローンが重要になります。オリックスをはじめとする大手の金融機関の提携ローンが無いと、借入金利が高くなってしまい、せっかくの好利回りが帳消しになってしまいます。物件だけではなく、提携ローンで返済がどのようになるのかを確認することが必要です。

さらに、物件の立地を確認してみましょう。東京でも多摩地区や神奈川の一部のエリアは都心部といっても今後の賃貸ニーズが弱まっていく可能性があります。また、最寄駅からの徒歩時間が10分を超える物件も場所によってはテナントが付きにくい可能性があります。目先の収益だけではなく、将来の賃貸需要を見越した立地条件の良い物件を選んだ方が良いでしょう。

不動産投資は、「何を買うか」に多くの投資家は注目しますが、「誰から買うか」と「誰に管理してもらうか」も同時に考える必要があります。借入の面倒まで丁寧にみてもらえる提携ローンが充実した会社の優秀な担当者から購入し、入居率が高く多くの中古ワンルーム物件を管理している実績のある会社を選ぶことが失敗しにくい投資を実現します。

このようなチラシが折り込まれるということは、ワンルームマンション投資のすそ野がさらに広がり、新たに投資を始める人が増えてきていることを暗示しています。販売会社も増えていき、品質にバラツキが出てくることでしょう。中には粗悪な物件を、強引に販売する会社も出てきそうです。

今後は、物件のクオリティやローンのアレンジ能力、さらに管理のスキルなどによって、どのワンルームマンション販売会社から購入するかによって、大きく結果が変わるようになると予想します。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。