ビジネスは「儲かるか」だけを考えると失敗する

新しい事業をこの夏から立ち上げようと、準備を進めています(写真はイメージです)。早ければ第6回世界の資産運用フェアで、新会社のお披露目することができそうです。

起業でゼロからイチを生み出す時には、決めなければいけないことがたくさん出てきます。ユニークなビジネスであればあるほど前例がありませんから、自分たちで考えなければいけません。

株式会社を立ち上げて始めるビジネスであれば、最終的には利益を生まなければ存在価値はないと思っています。しかし、ビジネスプランを立てる時に意思決定の判断基準として、最優先すべきなのは、「儲かるか、儲からないか」ではなく、「正しいか、正しくないか」と「自分たち以外にできるか、できないか」の2つだと思っています。

「正しい」とは社会にとって、あるいは顧客にとって存在価値があるかどうかです。公共の利益に反したり、本質的な価値提供が無いにも関わらず、会社が儲かったとしても、それは正しいビジネスではありません。存在価値がないものですから、短期的な利益にはなったとしても、長期的には淘汰されていきます。新しいビジネスが正しいものであるかどうかは、その企業のサステイナブル(持続的)な成長に必須と言えます。

そしてもう1つは「自分たちだけ」という視点です。せっかく社会的に意義があって、顧客にとってもメリットがある「正しい」ビジネスであったとしても、それが誰でも提供できる参入障壁の低いものであるなら、自分たちがやる必要は必ずしもありません。誰でも始められる魅力的に見えるビジネスには、多くの会社が一斉に参入し、過当競争に陥ります。商品やサービスに「自分たちだけ」の付加価値がなければ、価格競争せざるを得なくなり、収益は低下し、単価が下がることから提供できるサービスの質は低下していきます。最終的には、収益も顧客の信頼も得ることができなくなってしまうのです。

「正しい」ビジネスを考えて、それが「自分たちだけ」にしかできないかを検証する。2つの条件がクリアになったら、始めて「儲かるか」を考えていく。

新しいビジネスを立ち上げたのに、収益が上がらないという起業家の人たちには、収益改善策を考える前に、そもそも自分のやっていることが社会や顧客にとって価値があり、他社と十分な差別化がされるいるかどうかを考えるべきです。取り敢えずうまくいっているとしても、2つの条件が満たされていないなら、早めに次の一手を打った方が良いでしょう。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。