不動産の総合コンサルティングサービスを提供する東京カンテイが作成したデータによれば、都心の新築マンションを10年間した場合のトータル収益は、かなり良好なパフォーマンスであることがわかりました(図表も同社作成)。
新築のマンションは築10年になれば、価格が下落するというのが常識です。しかし、都心主要区の多くでは、築10年になったときのリセールバリューが新築時よりも高くなっています(赤字で表示)。さらに、その間の賃料収入を含めたトータルでは、さらに収益性が高まります。
トータル収益の比率を見ると、大半は値上がり値下がりの要素ではなく、賃料収入が占めていることがわかると思います。投資用物件で注目すべきは定期的に入ってくる賃料収入です。値上がり益よりも確実性が高く、時間と共に年々積み重なって、投資収益を改善していくからです。
この10年は、リーマンショックで世界的に資産価格が下落し、日本の不動産も大きな影響を受けました。また、東日本大震災も、不動産投資にマイナスの影響がありました。最近は、アベノミクスで不動産価格が回復してきていますが、10年スパンで見れば、一本調子の値上がりではないことがわかります。
予想できないイベントがあるので、不動産価格は上昇するか下落するか予測するのは簡単ではありません。ただ、間違えてはいけないのは、経年劣化(建物が古くなること)だけを取り出して、価格が下がると決めつけるのは正しくないということです。
今回の分析データは、新築マンションを対象にしていますが、中古物件で同じ10年を分析すれば、さらに価格は上昇していると予想されます。築年数が古くなると経年劣化のスピードは落ちていくからです。
不動産投資の収益性は、不動産価格の動き、保有期間中の賃料収入、そして借り入れをする場合はローンの支払い金利金利という3つの要素によって決まってきます。
もし、不動産価格が下落したとしても、それが保有期間中の賃料収入から金利の支払いを行った金額よりも小さければ、投資収益はプラスです。そう考えれば、「これから上がるか、下がるか」という予想が困難なことだけを材料に投資判断することが、ナンセンスであることがわかると思います。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年8月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。