「ビジョン」より大切な、まず「アクション」

丸の内朝大学マネーコミニケーションクラスのフィールドワークが無事に終わりました。今回も東北の一関、気仙沼、陸前高田の経営者の皆さんにお話を伺い、震災から復興に取り組み続ける現状を見聞きすることができました。

訪問した会社には、老舗企業が多くありました。八木澤商店のように江戸時代に創業し、200年以上の歴史を持つ会社があったり、斉吉商店のように100年近い老舗の会社も珍しくありません。

このように長い間生き残ってきた会社には、それを支えるビジョンがあります。しかし、そのビジョンは創業時から確立していたのではありません。生き残るために試行錯誤を続ける中で、経験則として自然に生まれてきた「知恵」のようなものだと感じました。

何のために、その会社が存在するのか。社会に存在する理由がなければ、その会社はいずれ不要な存在となりマーケットから淘汰されていきます。「存在理由」を抽象化したものが会社のビジョンだと言えます。しかし、ビジョンありきで経営をしてもうまくいくとは限りません。

高尚なビジョンを唱えていても、それを商品やサービスに落とし込むアクションが間違っていると、売り上げも立たず、利益はあげられないからです。会社として経営がある程度安定してくると、次にその会社をどうやって持続させるかを考えることになります。その時にビジョンが大切になってくるのです。

「進化論」で知られるダーウィンはこのように語ったと言われます。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、生き残るのは、変化できる者である。

どのように変化し、環境に対応して企業が生き残っていくか。その変化の方向を間違えないようにするのが、ビジョンの役割ではないでしょうか。長期に生き残る企業を見ると、ビジョンを持ちながら、環境の変化と共に事業内容を柔軟に変えています。

土曜日の訪問した、平泉にある「BREWERS」(写真)は、100年を超える老舗企業世嬉の一酒造が手掛ける新しい業態のお店です。日本酒の酒蔵として100年経営を行ってきた会社が、地ビールの製造を手掛けるようになり、今度は地元のアンカーコーヒーとコラボレーションして、コーヒーとクラフトビールのお店をオープンしたのです。消費者の嗜好の変化に対応して、アクションを続けているのです。

ビジョンをしっかりと持って、それを元に経営判断することは大切です。しかし、その前にやるべきなのはアクションです。自分が変わらなくても、環境は常に変化します。それを認識して、アクションを続けられなければ、いくらビジョンが正しくても企業として存続できないからです。

丸の内朝大学マネークラスは秋学期も開講します。夏のクラスとは内容を一新し、リアル版「大人のキッザニア」を体験してもらおうという企画。今回が最初で最後になるかもしれません。9月13日12時半から申し込み開始です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。