やって良い民泊、やってはいけない民泊

エア・ビー・アンド・ビー(AirBnB)による宿泊が日本国内でも広がっています。民泊専門サイトのMINPAKU.Bizの調査によると、2017年4月1日時点の掲載件数は47,365件と引き続き増加傾向が続いており、その3分の1が東京都に集中しています。

インバウンドの盛り上がりにより外国人観光客も増えていますが、それ以上に新しいホテルや宿泊施設の開業も増えています。

世界の資産運用ガイドのこの記事も指摘する通り、民泊ビジネスは誰でも簡単に始められ儲かるブルーオーシャンではなく、競争の激しいレッドオーシャン市場に変わりました。

そんな激変する環境下で、私も昨年から都内で簡易宿所を運営していますが、2017年8月の売り上げが約80万円と過去最高になりました。競争激化の中で利用者が着実に増えているのにはいくつかの理由があると思っています。

理由1 簡易宿所として営業している
民泊として登録している物件のほとんどはいわゆるヤミ民泊です。2017年3月10日に住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が閣議決定され、年間の宿泊上限が180日間に設定されました。今後は違法な営業の取り締まりが強化される可能性もあり、簡易宿所や旅館として合法的な運営を行わない場合のリスクが高まります。簡易宿所で合法的な営業であれば、AirBnBだけではなく、じゃらんなどの宿泊サイトにも掲載が可能になります。

理由2 他の施設との差別化
ワンルームのような小さな部屋は、参入障壁が低いことから掲載件数が多く単価が低下傾向にあります。部屋が広く、大人数で宿泊でき、都心からのアクセスが良い場所にある物件であれば、競合も少なく価格競争に巻き込まれる可能性が低くなります。また、大人数で旅行する外国人は連泊することが多いため、稼働率の向上にもつながり収益が安定します。

理由3 過去の宿泊者のレビュー
AirBnBの宿泊者が予約の際に参考にするのが、過去の宿泊者のレビューです。時間の経過と共に好意的なレビューが増えてくれば、それがリピーターや新規の予約を呼び込み、さらに人気宿泊施設として申し込みを増やすことにつながります。私がお願いしている管理会社は、対応が極めて良く、清掃などのメンテナンスも完璧で、宿泊者の高評価につながっています。

国内での宿泊施設は、今後さらに競争が激しくなることが予想されます。ブームに乗った安易な市場参入は収益に結びつかず、早期の撤退に追い込まれることになるはずです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年9月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。