違うだろー。ここは早川忠孝元衆議院議員に期待したい!

尾藤 克之

国会審議への苦言を呈す早川氏(報道特集)

また、衝撃的なニュースが報道された。元政策秘書に暴言や暴行を加えたなどと週刊誌に報じられて、自民党を離党した豊田真由子衆院議員(埼玉4区)が、週明けの18日、後援会幹部に事情を説明する会合を開くと、いくつかのメディアが報道している。

非常に強いインパクトを残した事件

被害を訴えている元政策秘書は週刊新潮(9月21日号)で、豊田氏の発言について虚偽であるとし、新しい音声データを公開している。報道以降、体調を崩したという理由から長期入院し、騒動の釈明などは一切おこなっていない。議員を続けるのであれば早めに会見を開いて弁明をし、国民の声を聞くべきだったように思う。

結果的に、豊田氏の一件が引き金となり、自民党は都議選に惨敗し、支持率を下げる事態を引き起こした。最近は政治家のスキャンダルが多いが、山尾氏(民進)、橋本氏(神戸市議)、中川氏(自民)など、会見内容の是非は別にして、速やかに自らの口で説明している。少なくともその点では潔さは感じる。

元政策秘書は被害届を提出し朝霞署が受理している。すでに捜査1課も加わって暴行と傷害容疑での捜査を慎重に進めているとの話もある。デイリー新潮によれば、元政策秘書は「示談は考えておりません。豊田氏には、捜査にも国民への説明にも誠実に対応され、人として出直してくださることを切に願います」と答えている。

議員活動を続けられるのは自由だが、音声のインパクト(違うだろー)は大きすぎた。私には、号泣議員の野々村竜太郎元県議くらいの印象が残った。自民党を離党すれば公明党の支持は得られない。そうなれば、地元の県議、市議を巻き込むことは難しい。「火中の栗」を拾う方がいれば別だが、いまの情勢を鑑みれば容易ではないはずだ。

選挙情勢を分析してみよう

まず、埼玉4区には、自民党の赤枝恒雄衆院議員(比例東京)が出馬の意向を示している。自民党の票は赤枝氏に一本化されることになるだろう。野党側は、吉田芳朝県議が民進党公認に内定している。さらに、吉田氏は、次期知事選に不出馬の意向を表明している、上田清司知事に近いことから上田氏のもつ票も見込まれる。

野党共闘が進み、統一候補擁立が実現すれば、桜井晴子氏(日本共産党)が獲得していた、3万票程度の上乗せが期待できる。しかし、上田氏が非共産であることから、野党共闘が実現すると、上田氏の基盤票が逃げる可能性も否定できない。埼玉4区は上田氏の地盤だが、非自民、非共産の傾向が強い。上田氏もリベラルかといえばそうでもない。

2004年に「新しい歴史教科書をつくる会」を支持、2009年の県議会本会議では、「日本の国旗や国歌が嫌いだというような教員は辞めるしかないのではないか」とも発言している。朝鮮学校についても「拉致事件に関与した疑いのある朝鮮総連の配下にある。無償化には無理があるのではないか」とも述べている。

では、「都民ファーストの会」はどうなるだろうか。これまでの人事などを見ていると、小池百合子知事は「譜代の関係」を重視しているように思われる。そうなると、小池氏に近い存在ということになるが誰が適任だろうか。私は、早川忠孝(元衆議院議員)の擁立があるのではないかと期待している1人である。

都民ファーストの会で三つ巴か

早川氏は、東大在学中に司法試験に合格し法曹への道を歩む。ところが、一念発起し政界へと転身する。第43回衆院選(2003)に当選するまで、3回の国政選挙落選を経験する。第44回衆院選(2005)再選。第45回衆院選(2009)落選。この選挙は、民主党が政権交代を実現した選挙だが、自民党は埼玉県15選挙区全てで議席を獲得できなかった。

第46回衆院選(2012)は後進に譲る。この選挙で当選したのが、豊田真由子氏になる。なお、早川氏は2008年の自民党総裁選で小池百合子を支持している。10年近く前から、小池氏が総理総裁になることを支持していたわけだから、いまだに小池氏からの信頼が厚いのではないかと勝手ながら推測をする。

法曹の経験を活かし、福田内閣~麻生内閣で法務大臣政務官を歴任。50歳以上で初当選した自民党国会議員による「クローニンの会」にも所属。「自民党耐震偽装問題対策検討ワーキングチーム」座長、「自民党民法772条見直しプロジェクトチーム」座長にも就任。苦労人でもあり若手にとってはお手本になるのではないか。

いまの「都民ファーストの会」には、ベテランの重石が必要ではないかと思う。早川氏はブログで「That’s right!」と言われている。直訳すれば「その通りです」という意味になるが、擁立の声が大きくなったら「That’s right!」と臨んでもらいたい。勝算は十分にあるのではないかと思われる。埼玉4区から目が離せなくなった。

参考書籍
朝日新聞がなくなる日 – “反権力ごっこ”とフェイクニュース』(ワニブックス)

尾藤克之
コラムニスト

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