スターバックスにお願いしたいのは、ポイント制度ではなく「スピード」

スターバックスコーヒージャパンがポイント制度を導入するそうです。Web登録済みのスターバックスカードで50円当たりStarと呼ばれるポイントが1つ集まり、その数に応じて、特典を与えるシステムです。

このタイミングでポイントによる顧客の囲い込みを始める背景には、他のコーヒーチェーンとの競争が激化して、差別化できなくなってきているという危機意識があるからだと言われています。ドトールやタリーズコーヒーのような競合他社だけではなく、コンビニの100円コーヒーとも競争しなければならないのです。

しかし、スターバックスユーザーの最大の問題は、価格や味ではなく、まず「スピード」だと私は思います。ポイント制度で実質的な値下げをする前にやって欲しいことがあるのです。

私のように、テイクアウトで注文するのはいつも本日のコーヒーという人も多いと思います。時間を優先する人にとって重要なのは、サクッと会計が終わって商品がすぐに出てくることです。ところが、カスタマイズされた注文に対応したり、現金で精算する人たちがいると、時間がかかることがあって、これが最大のストレスになるのです。

確かにコーヒーの味わいも日によってかなりブレがありますし、フードメニュは他社に比べかなりクオリティが落ちます。しかし、そんなことよりもまずは待ち時間を短縮して欲しい。これは私だけの希望ではないはずです。

プリペイドカードの優遇システムを作るより、お願いしたいのは、自分で会計できるセルフレジや、プリペイドカード専用レジ、あるいは本日のコーヒー専用レジの導入など、スピードを求める人への対応を行うことです。

混雑を解消するのであれば、ポイントで実質値下げするより、価格を上げて顧客満足度を高める方向にした方が、他社との差別化ができる。新しいポイントサービスで会計に時間がかかる人が増えれば、さらにスピード感が無くなり、混んでいるという悪循環に陥ります。今回の新サービスは方向が逆だというのが私の意見です。

「スタバ=高い」というイメージだけではなく、「スタバ=混んでいる」というイメージがスタバの最大のウィークポイントなのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年9月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。