「いま」テレビで流す必要があったのか?保毛尾田保毛男への違和感

秋元 祥治

「楽しくなければテレビじゃない」とはかつてのフジテレビの名キャッチコピー。
じゃ、笑いを引き起こすためにわざわざ人を傷つける必要があるかと言えば、それはNOでしょう。

昨日(平成29年9月28日)放映した番組「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP」の番組内コーナーにおいて、とんねるずの石橋貴明氏が「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」というキャラクターで登場。懐かしい、といえば確かにそうなんですが…。

他の出演者とともに、「ホモ」という単語を数度に渡り発言し、番組全体として男性同性愛者を笑い、というか嘲笑の対象としていたわけですよ。


30年前はいざしらず、少なくとも現在では「ホモ」という単語は男性同性愛者に対する蔑称だという認識はわりと一般的になっていて、その存在自体を嘲笑の対象として表現することは問題あり!と言わざるをえないなぁ、と。


30周年を機に、過去の名物コーナーのキャラクターを登場させよう…という趣旨は理解できます。僕自身も懐かしさを感じましたし、深い意図なく企画されたものだとも思います。

ただ、劇的にここ数年で日本における性的少数者(LGBT)に関する見識や考え方は転換してきました。LGBTなど「性的指向・性自認」を個性ととらえ、権利を確保し、尊重するというのが大きな流れです。

すでに渋谷区など複数の自治体で「同性パートナーシップ」にかんして制度化されたり、岐阜県関市でも、尾関市長のリーダーシップのもと「LGBTフレンドリー宣言」がなされています。

当事者が(2015年 電通総研の調べでは7.6%がLGBTと推計されています)この番組を目にすれば、どうかんじるでしょうか。

振り返ってみると、30年近く前、小学生だった自分も「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」というキャラに」影響を受け、女性ぽい仕草や言葉遣いをする男友達を「ホモ」と揶揄したこともあったかもしれません。(もちろん、いま思えば深い反省とともにです。)

同じように考えれば、番組を目にする子どもたちへのネガティブな影響が懸念されます。子どもたちが番組の内容を学校で真似をすることで、いじめや無視等につながるやもしれないのです。

楽しくなければテレビじゃない、といっても
楽しむ人がいるならば、ひとを傷つけて良いわけじゃない。

わざわざ、いま、あえてこの内容を流す必要はなかった。
制作スタッフに、ちょっと視聴者やLGBTの当事者、社会的トレンドに思いが寄せられれば。
そして、最終的に放送にGOをした、意思決定者に強い違和感を感じました。

秋元祥治
NPO法人G-net理事(創業者)・OKa-Bizセンター長

ではでは。

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