産休・育休社員の穴は採用で埋めるべきではない

松本 孝行

産休に入る時に「とある一言」を言って休んだら3ヶ月しないうちに上司が病んで辞めた話

上記のまとめでは「産休に入るのをわかっていながら、人員を増やさなかったから他の人達の負担が増えたんだよ」というつぶやきをきっかけに、多くの人がコメントしています。産休は日本だと産前に6週間、産後に8週間取得することができるようです。最大14週間、場合によってはそれよりも長い産休をとることが保障されています。

出産後には育休が取得できます。1歳まで、場合によっては1歳6ヶ月や2歳まで育休を取得することができます。なかなか男性の産休・育休の取得は進まないですが、制度自体はそれなりに整備はされているようです。

今回考えたいのは企業側の対応です。産休・育休をとる社員が出てきた場合、その社員の穴はどのように埋めるべきでしょうか。

産休・育休社員の穴は採用で埋めるべきではない

産休・育休の穴埋め人材、復帰後どう扱う?

仮に上記の産休・育休をとったという会社で、その方の代わりの人材を採用したとしましょう。妊娠から産休をとるまでには数ヶ月の時間があるので、そこでパートの方や派遣社員の方を採用したと仮定します。産休・育休をしている間、非正規社員として採用した方がカバーをしてくれます。ここまでは問題ありません。

問題は産休・育休で休んだ方が復帰した場合です。この場合、元の仕事・担当に戻ったとしたら、非正規社員で契約している人は仕事がなくなります。やることがないので、そこでクビ・契約終了と言う形を取ることになるでしょう。

現実の実務の現場で考えると「1年ちょっとだけ働いて、産休・育休をとった社員が戻ってきたら辞めてもらいます」なんていう契約を了承して働いてくれる、お人好しの人材が応募してくるとは考えられません。ただでさえ人材不足の中、契約期間がある仕事をしてくれる人を採用できるとは思えません。

かと言って「長く働いてもらう予定です」なんて言ってしまえば、産休・育休の社員が戻ってきた時に雇い止めしようとしたら、確実に揉める原因になります。ですからそのようなウソで採用しようとするのは問題があるでしょう。

結果的に産休・育休をした社員の穴埋めをするために、誰か別の人材を採用した場合、産休・育休から復帰した時にバッティングして揉めることになり、結果的に誰も得をしない事になることが高い確率で考えられます。

採用しないことが復帰する社員への最大限の配慮

じゃあどうするべきなのか?諸外国の産休・育休に対する対応はかなりバラバラです。少子化を克服したフランスでも産休については職場のフォロー、仕事の前倒し・後倒しによって対応しているようです。育休になると少し話は違い、職場のフォローもありつつ、代替人員の採用も行っているようです。

つまり職場での他社員によるフォローというのはほとんどの国で当たり前なのです。なので、上記で紹介した産休・育休に関するまとめにおいて、他の社員がフォローすると言うのは当たり前のことであり、それは日本だからとか制度が未熟だからではないのです。

最初に紹介したTogetterのまとめは、事業主・会社側の対応を非難するかのような内容ですが、むしろ採用をせずに他の社員にフォローをお願いしたというのはまっとうなやり方だと思われます。採用をしていた場合、復帰した際に色々と揉めたかと思うと、会社の判断は良かったのではないでしょうか。

フリーランスや短期雇用を増やす施策を

ただし、複数の社員が産休・育休を取得した場合はフォローしきれないかと思います。ですので、その際はコストが高くなったとしても、仕事を回すために社員のフォローと一時的な採用の2つを組み合わせて対応するしかないでしょう。

この際に必要なことが短期有期雇用で働く人が当たり前の社会にすることです。様々な企業を転々とし、短期の有機契約を繰り返すような人材が増える必要があります。ドクターXの大門未知子のように、プロフェッショナルとして一時的に対応するために働く人が増えることも必要です。

とは言え、今現在の企業側の対応で言えば、残った職場の人達でフォローするのが最も合理的であり現実的な答えなのではないでしょうか。