最近、「夢をかなえる」系の本が多い。自己啓発とビジネスの折衷で質の高いものが増えている。今回紹介するのは、『はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法』(SBクリエイティブ)。くれぐれも申し上げておくが、なにもせずに「はしゃいでいて」夢がかなうわけではない。もっと肩の力を抜いて取組みましょうという意味の本である。
著者は、マーケッターの本田晃一さん。編集者はSBクリエイティブの小倉碧さん。読んでもらいたいのは30~40代の男性ビジネスパーソン。ある程度、世の中の理不尽さを理解している人のほうが気づきがあるだろう。この本を読むとモテるようになるかも知れないとあえて申し上げておきたい。今回はそんなヒントを紹介する。
版元の、SBクリエイティブはソフトバンクグループ系列の出版社。IT関連の書籍や、ビジネス書、ライトノベル、文庫、新書など領域はひろい。最近は、電子書籍、デジタルサイネージ、ネットコンテンツ事業なども手掛けている。
人は同じ価値観によって結びつく
――人間関係は難しい。しかし基本的に人間関係は「楽しさ」で結びつくのがうまくいくコツではないだろうか。つまり理屈ではないということだ。
「ある男性は女性から『理想の父はアニマル浜口』と言われたんだそうです。『気合だ!気合だ!気合だーっ!』と全身全霊でぶつかってくれる人がいいみたいですね。だから僕はその男性にこうアドバイスしました。『かなり暑苦しく応援すると、すごくホットな関係になれると思うよ』。どうですか。楽しそうに見えませんか。」(本田)
「逆に悲しかった話の場合は次のようにしてください。ここは共感がポイントです。人はなぜ悲しいのかというと、そばに誰もいてくれないからなんですね。だから相手が『いてくれようとしているんだ』とわかると、悲しみは癒えていきます。」(同)
――相手の気持ちに寄り添って話せば、相手の悲しみは消えていくものである。しかし、この時にやってはいけないことがある。それは何か。
「『こうすればよかったんじゃない?』などと言ってはダメなんです。相手の悲しみの庭に土足で踏み込むようなことはしないほうがいいです。ただただ聞いてあげるだけ。相手の気持ちに深くうなずいて聞いてあげればいいと思います。」(本田)
「女は共感してほしい生き物、男は認めてほしい生き物。みなさんは、基本的に自分がしてほしいことを相手にしていると思います。基本的にそうすれば人間関係はうまくいくはずです。でも実は、男と女ではそもそも思考が違うんです。」(同)
男と女の思考の違いを考える
次に男と女の思考を理解しなければいけない。男が福岡出張に行ったとする。それについて話すとこのようなニュアンスになるのではないだろうか。
「羽田10時発の飛行機に乗って、福岡へ12時に着いた。待ち合わせまで時間があったので博多でラーメンを食べた。その後、打ち合わせをこなして福岡空港に向かう。17時の飛行機に乗り羽田に着いたのは18時半だった。そのまま帰途に着いた」。
会話ではない。これは単なる事象の報告にすぎない。では、これが女性だと一体どのように変化するのだろうか。論理的か感情的かに注目してもらいたい。
「乗るのは10時の飛行機です。早起きしなければならなかったけれど、久々の福岡でワクワクして目がさえちゃって眠れませんでした。博多の高級会席料理のお店で、予約していたお刺身コースを食べました。中州まで足を運び、お鍋と煮込みに舌鼓。もうお腹一杯です。明日は精進料理食べてお土産を買ってから東京に戻ります」。
女からみたら男の話は、「だからどうしたの?」という感じになる。ようするにつまらないのである。しかし、男は論理的なので、そこにいたる筋道や根拠、事実などを盛り込むことが多い。女はエモーションで男はロジカルといえばわかりやすい。
さて、ここからが問題である。もし男が女に好意を抱いている場合、会話はどのようになるだろうか。感情的な会話は女の心に響きやすい。恐らく男は感情的な会話をするはずである。愛情いっぱいの「表現力」に富んだ会話をするはずである。そうでなければ自分の気持ちは相手に届かない。「成就」にはいたらないのである。
夢をかなえるには一定の努力は必要
時間が経過すると、感情的な会話から論理的な会話に変化する。男性もいまさら感情的な会話などできない。そして感情に寄り添うことや表現することが面倒だと思うようになる。お互いのすれ違いが大きくなり限界を超すと「別れ」にいたる。
それでは、男と女の違いについて視点を変えたい。夢を語る男は素敵である。しかし、女は長い目で考えると、夢だけでは付き合えないと思っている。「オレは将来、ビッグになって億万長者になる」と語っても、いまがニートでは億万長者になることは難しい。夢を語りつつも実現するための具体性がないと、女には響かないからである。
本書は、この記事で紹介したようなわかりやすい身近なケースが紹介されている。しかし、最初に話したとおり、何の行動もせずに夢をかなえることはできない。もし楽をしてつかめると思うのなら本書は百害あって一利なしだからおすすめはしない。しかし、自分自身に謙虚になり、努力できるのなら正しい道筋を見つけるヒントになるだろう。
参考書籍
『はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法』(SBクリエイティブ)
尾藤克之
コラムニスト
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