子供に身に付けさせたい「執着力」

受験生時代、なかなか解けなかった数学の問題や理解に苦しんだ読解問題が、一晩寝て翌朝になったら解決していたという経験をお持ちの方は多いと思います。寝起きでなくとも、風呂に入っているときや通学時間に閃いたこともあるでしょう。

これは潜在意識の作用だと言われています。
潜在意識(フロイトは「無意識」と呼んでいました)は顕在意識よりもはるかに広大かつ深淵で、その中に難問等を放り込んでおくと、自動的に解いてくれるという考えです。
寝ている時は潜在意識の活動が活発で、脳の回転がとても速いとも言われています。

そう言われれば、子供の頃、寝ている間にベッドから落ちた時、(現実には一瞬の間だったはずなのに)夢の中では何かに追いかけられて断崖絶壁から落とされるストーリーが出来ていたことに驚いた覚えがあります。

潜在意識の作用は、科学的にしっかり解明されたものではなく私の理解も曖昧なものなので、ここまでは話半と思っていただければ幸いです。

ただ、一つだけ確実なことは、「朝起きて解けていた」「風呂の中で突然閃いた」…等々の事柄が起きるためには、「何とかして解こう」「何とかして解決しよう」と思い続ける執着力が多かれ少なかれ必要だということです。「わからないや」と思ってさっさと諦めてしまう人には、おそらく「突然の閃き」はやってこないでしょう。

これは勉強だけではありません。
社会生活を営む上で強力な武器になります。

八方塞がりの状態に陥ったり、逆にどの方向に進めばいいか迷ったような時、あれこれとしつこく考えていると、突然「何だ、この手があったじゃないか!」と閃く経験をした人がたくさんいます。

私ごとですが、訴訟で相手方への反論等が上手く出てこない時は「しばらく寝かせる」ことにしていました。その準備のため、相手方から準備書面等が送られてきた時は早急に一通り目を通すようにしていました。

同じように、数学や算数の問題が配られたら、順番に解いていくのではなくすべての問題に目を通しておきましょう。他の問題に取り組んでいる間に、潜在意識が先に目を通した問題に取り組んでくれていますから。

最近、「〇〇は何歳まで」という書籍等がよく出版されています。
しかし、語学が堪能であったり有名大学に入るだけでは、これからの時代、決して人生を切り開くことは出来ません。

「やり抜く力 GRIT」はそういう形だけの実績に対するアンチテーゼだと私は捉えています。
「執着力」は、もしかしたら「やり抜く力」の一種なのかもしれません。

どうやったら、このような力を親が子供に授けることができるのでしょうか?
今の私には明確な答えはわかりません。

ただ、寝ても覚めてもそのことばかり考えているような遊びや習い事、はたまたスポーツが効果的なような気がします。肝心なことは、決して親が押し付けたことではなく、子供が自発的に好きになったことをだということでしょう。

この点についていいアイディアをお持ちの方は、是非ともご教示下さいますようお願い申し上げます。

荘司 雅彦
講談社
2006-08-08
今から威力を発揮する「歴史CD」付きです。

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。