投資に限らずあらゆる場面で損切りすることの重要性

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

インベスターZという投資漫画の中に面白い一文があります。「つまらない映画を最後まで見るやつは投資に向いていない」というものです。これはよくわかります。ハッキリいってつまらない映画につきあって最後まで鑑賞する、ということに何もメリットはありません。

…と、えらそうにいっている私自身も、昔は損切りが全然出来ませんでした。どんなにつまらない作品でも、途中でコクリコクリとやっていても、それでも我慢して最後まで見ていました。ですが、つまらない映画は後で振り返っても何も内容は残っていません。そう、「この映画はつまらなかった」という記憶以外はなにも。

損切りは「決心」がないと出来ないもの

そんな私も本格的に投資をするようになり、最近は色んなことの損切りができるようになりました。私はdTVというドコモのやっている動画配信サービスに加入しているのですが、最近では最初の30分見てつまらなかったら、その場ですぐ見るのをやめています。そうやって1つ、2つとスピーディーにあれこれ作品を鑑賞する中で「お!これは!!」というものがあったらじっくり見るというスタンスです。このやり方は本当にうまくいっていて、おかげでつまらない映画に付き合って時間をムダにすることはなくなりました。というのも、つまらない映画って最初の30分で分かってしまうんですよね。最初の30分がつまらなくて、その後急に面白くなるということは少なくとも私の人生の中で一度も経験がないことです。つまらない映画は最初から最後までつまらない。だから30分で付き合いを決めてしまっても間違いはないと思っています。

ですが、映画の損切りは「30分は見る、継続鑑賞するかはその後決める」とどこかで決心しなければ出来ないことです。そうしなければどうしても昔からのクセに引きずられ、頑張ってつまらない展開に付き合って2時間が過ぎた後に「やっぱり時間のムダだった…」と肩を落とす事になってしまいます。習慣を変えるのはなかなか難しいことを理解し、損切りすることを決心、実践、そしていいものだという経験をしなければわからないことです。

損切りは映画に限ったことではない

時間は有限なのにやることや、やりたいことは無限大にある情報化社会の現代では、時間をムダにすることは自分の命の無駄遣いでしかありません。ですので損切りするのは投資や映画の世界に限らず、なんでも通じる話だと思います。

それは人間関係やビジネスでもまったく同じです。私はビジネスでお金を払ってコンサルタントをつけていますが、「どちらかが降りると決めたらその時点で契約を終える」とお互いに決めています。人生は一度きりで有限、意味のない時間やお金を使っても付き合っていてもお互いに不幸でしかありません。幸い、これまでのところはとても有益で気持ちのいい付き合いをしています。「そんなドライな!」と思われるかもしれませんが、そのくらいドライに考えるととても楽ですし程よい緊張感もあります。また、私はライターとして日々、いくつかのメディアさまへ原稿を納品していますが「いつ切られるか分からない」と理解して記事を書いています。全然反響が取れなくなったらお役御免、私は原稿料をもらってはいけないのです。

ビジネスに限らず、プライベートでの人間関係も同じです。私は愚痴が大嫌いで、言うのも聞くのも絶対に嫌だと思っています。ネガティブなニュースが嫌なのではありません。解決するべき課題や問題はむしろ早い段階でハッキリといってもらいたいのです。しかし、「愚痴不満をいってスッキリしたいから」という相手に付き合って時間を消耗することだけは嫌だと思ってしまいます。愚痴は言うのも聞くのも時間だけでなく、健全な心もすり減らす行為です。ですので愚痴ばかり言う人とは付き合わず、自分と合う人と人間関係の時間を使いたいと思っています。

損切りは何も映画に限った話ではないと思っています。

損切りしない最大のデメリットは?

映画の損切りが出来ないことには思わぬデメリットが存在します。単に時間の浪費というだけでなく、「映画という対象そのものが嫌いになってしまう」ということです。

私は損切りをするようになる前は、つまらない映画が2〜3作品続くと映画が嫌になってしまっていました。「映画という娯楽は質が落ちた」とか「安い娯楽だけどつまらない」と、映画を見ること自体が嫌いになっていたのです。あなたも経験がありませんか?投資をして損失が続くと、「株!不動産!仮想通貨!もうこんなワード二度と聞きたくない!」と思い、友人から愚痴ばかり聞かされて「もう人付き合いなんてこりごりだ!」と。でも投資や人間関係そのものがダメなのではなく、たまたまダメだったものに付き合ってしまっただけですよね?

こうした考えになってしまわないよう、さっさと損切りをして自分に合うもの、必要なものとだけ付き合えばいいと思います。損切りをしないことで時間と意欲を失ってしまっては、それは付き合うだけ損というもの。上手な損切りができるように私もさらに腕を磨いて生きたいと思います!

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。