ビットコインで「億り人」になってもナゼ幸せではないのか?

内藤 忍

昨年のビットコインを始めとする仮想通貨の急騰で、1億円単位の資産を手にした、いわゆる「億り人」が、私の周りにも増えています。ただし、1億円の資産といっても、日本円で確定したわけではなく、今マーケット価格で時価評価をしたらそれだけの資産という人がほとんどです。実現益ではなく、評価益というところがポイントです。

そんな億り人になっている人たちを見ていると、実はあまりハッピーではないように見えます。

確かに、資産は爆発的に増えていますが、保有している仮想通貨の価格変動は相変わらず激しく続いています。今持っている仮想通貨の評価益が、いつ半減してもおかしくありません。もしかしたら一瞬の夢に終わってしまうかもしれないのです。そう考えると値上がりをウキウキと喜ぶより、むしろこれからが不安になってくるのです。

かといって、売却して利益を確定するのもためらわれます。個人で利益確定をすれば、雑所得として確定申告しなければなりません。1億円の評価益があっても、売却して1億円の現金を手にできるわけでは無いのです。最大で45%の税率(住民税込みだと55%)が課せられます。

また、仮想通貨に対する先高観は相変わらず根強く、現時点で利益を確定してしまうと、将来上昇すれば悔しい思いをすることになります。それを考えると、なかなか売るにも売れないのです。

その結果、1億円の評価益の人も、さらに2億円を目指して「ガチホ」(=ガッチリホールド、継続保有)と言うパターンがほとんどです。

仮想通貨の中には、ビットコインのようにリアル店舗で使えるところも増えている通貨もありますが、仮想通貨で買い物をすると、後々面倒です。コインを買い物に使うたびに売却益を計算して、20万円以上になると確定申告の対象になります。いくらで購入して、使ったときの市場価格がいくらだったのか。全て記録して計算しなければならず、極めて煩雑です。

このように、仮想通貨で大きな利益を上げたとしても、評価益に過ぎない人たちは、保有したまま毎日の相場変動に相変わらず一喜一憂していることがわかります。決して平穏な日々という訳ではなく、むしろ市場変動により翻弄される生活に巻き込まれて行っているのです。ストレスは下がるところか、上がる一方です。

億り人といっても、バーチャルの世界の出来事です。仮想通貨の高騰で幸せになれるかどうかは、これからの相場展開と、その人自身の心の持ちようにかかっています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年1月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。