昨日(1月9日)、フジテレビの情報番組「ノンストップ!」本当に画期的な番組内容でした。
2016年4月 覚せい剤事犯で逮捕された元NHKの“うたのお兄さん” 杉田あきひろさんの現在の活動について密着して下さっていたのですが、これが我々からしたら、非の打ちどころのない番組だったのです。
あきひろお兄さんは、現在、薬物依存症回復施設の「長野ダルク」で、リハビリトレーニングに励んでおられますが、
番組では施設の普段の生活の様子と共に、1月7日に行われた、あきひろお兄さんの歌のコンサートに密着していたんです。
この1/7のコンサートというのが、長野県の松川村で行われたのですが、なんと村が主催の有料コンサートだったというので、番組を見て私も大変驚き、感動してしまいました。
この勇気ある英断を行って下さったのが、村の職員さんで丸山明貴子さんという方なんです。
番組では、この丸山さんのことも取材されていて、「何故、今回有料でコンサートを開催したのか?」という問いに、
「杉田さんも今後自分で生活していかないといけない。
このコンサートを機に、次は他の場所でも頑張って欲しい。」
とおっしゃっているんですね。
素晴らしい!ご自身のリスクをいとわず、依存症者の再起を心から応援して下さっています。
・村の主催
・子供向け有料イベント
・覚せい剤事犯で執行猶予中の人を起用
批判を恐れ「つつがなく」が信条の行政主導で、こんなことがよくできた!と皆さんも思いませんか?
しかもですね、番組のVTRを見ていると、会場はぎっしり親子連れで超満員なんです。
コンサート終わりには、村民の方が「毎年やってね!」なんて声をかけていて、終始和やかムード。
あきひろお兄さんを受け入れて下さった、松川村の方々にも暖かい感謝の気持ちでいっぱいになりました。
更に、この番組の何が良かったかというと、素人の「つつがない」コメンテーターの道徳意見をさしはさまなかったことです。
これら密着VTRが終わり、スタジオにカメラが返ってくると、番組MCである、バナナマンの設楽統さんのこんなコメントが口火を切ります。
「薬物を断つのは、本人の意思とかもちろん大事ですが、支える側が大事というのもよく聞きますけど。小藪さんいかがですか?」
という前ふりがあって、このあとのお笑い芸人
小藪千豊さんのコメントがまさに秀逸だったんです!
数多くの番組をチェックしてきて、こんなコメントを薬物問題で残せる芸人さんに出会ったのは、小藪さんが初めてです!
「この女性の職員の方が本当に素晴らしいなと思いますね。やっぱりああいうお仕事されてたら、地域の皆さんからの非難で、思ってることも意志を曲げてしまうような、昨今のそういうクレームなんていうのもきついですからね。いろんな迷いもあられたと思いますが、やっぱりここは私のやっていることはそんなに間違っていないんじゃないかと思って、芯通しはったんは、本当にすごいなと思いますし、ああいう方が公のお仕事につかれているのは良いことやなと思いますし、この松川村って素敵な所やなって思いますね。」
どうですこのコメント。まさに神対応です。
「期待を裏切らないように・・・」
なんていう最悪の素人コメントなど一切なく、こうして番組は応援ムードのままコーナーを終えました。
番組終了後、何人かの仲間達からも速攻で「ノンストップよかった!」とLINEで連絡がありましたが、私も本当に心から「よかった!」と思える番組でした。
こんな番組がこれからも増えてくれること、
松川村のように社会全体が依存症者の再起を応援してくれるようになること、
それにより多くの仲間達が依存症から回復できるようになること、
そんな希望が決して夢物語じゃない!と信じることができました。
番組関係者と松川村の皆様に感謝致します。
編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年1月10日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。