成功する人は本が好き!そして観光スポットには行かない?

写真は秀和システムの田中氏より提供


著者であれば誰もが憧れるのが「夢の印税生活」である。「自分に相応しい仕事以外は請けません」と、嫌な仕事は一切請けない。講演やセミナーで全国を飛びまわる。その講演も2年先まで埋まっている。書籍即売会ではファンが行列をなしている。刊行本は数十冊を数え、毎月気がついたら印税が銀行口座に振り込まれている。

今回は、田口智隆さんの『賢いお金持ちが絶対に破らない人づき合いの基準』(秀和システム)を紹介したい。ビジネスパーソンに役立つ、さまざまな場面における意思決定に関するケースがふんだんに用意されている。また、田口さんは、ベストセラー作家で、多くの出版社や編集者が常に注目している1人でもある。

お金持ちの休日の過ごしかた

――あなたは、休日をどのように過ごしているだろうか。家族と過ごしたり、趣味に興じたり、行きたいお店に行ってみたりと人それぞれだろう。田口さんによれば、お金持ちに共通するのは、「旅」「読書」「人づき合い」になるそうだ。

「『お金持ちは、休日をどのように過ごしているのですか?』と聞かれることがよくあります。賢いお金持ちは、完全に仕事モードを切ることはありませんが、休日のプライベートの時間も大事にしています。プライベートが充実し、うまくリフレッシュすることによって、仕事に取り組むエネルギーを蓄えることができるからです。」(田口さん)

「私にとっても旅に出て、移動中に好きな本を読むのは至福の時間ですが、賢いお金持ちの多くも、旅に出るのが大好きです。旅と言っても、ガイドブックに載っているような有名な観光地などにはあまり寄りつきません。」(同)

――実はこれには理由がある。むしろ、見たことのないもの、行ったことのない場所、やったことのない経験のほうが、新しい知識を得ることに役立つからである。

「こうした好奇心の強さは、ビジネスにも直結します。賢いお金持ちは、常に新しい情報や体験を求め、そこからお金につながるアイデアを発想しています。それが当たり前だから、旅行先で新しいものを求めるのです。ガイドブックに出てくる観光スポットよりも、自分なりにテーマを持って旅をしていることがわかります。」(田口さん)

「ある知り合いは、そば打ちに興味があり、全国のそば打ち体験ができるスポットに出かけています。別の人は川釣りが趣味で、日本各地の渓流に足を運び充実した時間を過ごしています。ビジネスではオリジナリティが差別化につながります。観光スポットに行って満足しているようでは仕事の粋から出ることができないでしょう。」(同)

読書量と資産額は比例する

――あなたは、読書が好きだろうか?田口さんによれば、「読書量と資産額は比例する」と言ってもいいくらい、お金持ちは読書の時間を大切にするとのことだ。

「たとえば、プライベートタイムでも常に本を持ち歩いています。カフェに出かけるときも本を携さえて、移動中でも本を開いています。旅と同様、読書も知的好奇心を満たしてくれます。読書が好きな人は、ビジネスでも好奇心旺盛だから、ちょっとした情報や体験からビジネスチャンスをつかみとることができるのでしょう。」(田口さん)

「読んでいる本は人それぞれです。ビジネス書しか読まない人もいれば、小説やマンガが好きな人もいます。ただ、あえて読書の共通項を挙げるとすれば、歴史物のジャンルではないでしょうか。なぜなら、どんなジャンルにも必ず歴史があるからです。」(同)

――わかりやすく説明すると次のようなことになる。ある投資家が、ある外国の株式や不動産へ投資することを検討中だとする。このとき、歴史好きの投資家であれば、その国の成り立ちや「政治・経済」の歴史に興味を持つ。そして、国の歴史に関する本を手に取り、様々な情報に触れるようにするとはずだ。

「その国の歴史を知ることで、株式や市場への理解も深まり、多角的な発想もできるようになりますから、その国の景気だけを見て投資している人よりも、独自の考え方で投資することができます。私も歴史物は大好きですが、歴史は知れば知るほど興味が湧いてきます。まずは、定番の歴史小説などから読んでみてはいかがでしょうか。」(田口さん)

旅はもちろんのこと、常日ごろから自分なりに問題意識やテーマを持って取り組む習慣を持つことが大切ということになる。さて、筆者も1月に新しい本を上梓したので、関心のある方は手にとっていただきたい。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)。

尾藤克之
コラムニスト