やっと日経が防衛予算の来年度予算と、本年度の補正予算に一体化による不明瞭さを取り上げました。
これは民進党の大塚耕平代表の質問に関しての報道です。
1日に成立した2017年度補正予算は2兆7073億円の追加支出のうち防衛費が2345億円と8.6%を占めた。1回の補正での計上額としては最大で、安倍政権発足以降、多額の防衛費を盛り込む傾向が強まっている。18年度は当初予算を含めた防衛費の総額が5年連続で5兆円を突破する見込みで、補正の活用がなし崩し的な防衛費拡大につながっているとの指摘もある。
小野寺五典防衛相は「これまでにない重大かつ差し迫った脅威に対応するために計上しており補正の趣旨に合致している」と説明した。一方、民進党の大塚耕平代表は1日の記者会見で「補正に大きな防衛装備品が入るのは合理性に欠ける」と批判した。
補正予算は災害対応や経済対策など緊急性の高い事業を盛り込むのが一般的で、かつての防衛省関連の補正予算も災害対処や人命救助が中心だった。近年はミサイル防衛などの関連費用が目立ち、16年度も補正で弾道ミサイル対処のための装備品の調達費などを計上した。
増加傾向が続く防衛費は補正を合わせると伸びはさらに顕著になる。17年度は当初予算ベースでは16年度比1.4%増の5兆1251億円で、補正を含めれば2%増の5兆3596億円だ。
ぼくは以前からこの問題を取り上げまてきました。
補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ(東洋経済オンライン)
ですが、マスメディアや野党を含めた政治がこの問題を余り真剣に追及してきませんでした。
ですから実際は補正予算と一体化した本予算によって、防衛費が実態よりもかなり大きくなっていることを多くの納税者は知りません。特に補正でのお買い物が多いのですが、防衛費5兆円といっても人件費や米軍の負担など固定費が多く、お買い物予算はさほどは大きくありません。その中で1千億円を超える、本来は本予算で買う物を買っているのですから、防衛のお買い物予算は相当膨らんでいることになります。
東日本大震災後の民主党政権以来、次年度本予算と補正予算(更には復興特会)が一体化してきました。
これは大震災という未曾有の危機にさいして、国家予算で経済をした支えするという意味では、仕方が無かったかも知れません。
ですが既に、震災から7年です。そのいいわけは通用しません。
ところが、メディアも政治も、この本予算と、補正予算の一体化を問題視してきませんでした。
ですから、政府は本来本予算で調達すべきものが、落ちたら補正で買う、というある意味インチキで、
国家予算を実際より小さく見せてきました。
メディアはその「偽装した予算額」を前提に予算の議論を続けてきました。
これは政府や行政のモラルハザードを生んで、国家予算の不透明化を招いていると思います。
だから安倍政権は気兼ねなく、補正予算でジャブジャブ税金を使うことができます。お陰で国の借金は増えるばかりです。そして、これをGDPの「ふくらし粉」として利用してきました。悪く言えばGDPを粉飾しているいっても過言ではないでしょう。
もっと野党やメディアはこの問題を追及すべきです。
■本日の市ヶ谷噂■
小平から陸上自衛隊情報学校が不便な御殿場に移転で、能力低下が危惧されるとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年2月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。