「果物を皮ごと食べられる」という恵まれた日本の環境

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

あなたはぶどうやりんごを食べる時、皮ごと食べているでしょうか?私は健康のためにも「果物はできるだけ皮ごと食べましょう」とあちこちで啓蒙しています。というのも、果物の皮には果肉には含まれない豊富な栄養が詰まっているからです。例えばりんごの皮には3種類のポリフェノール、アントシアニン、ペクチン、カリウムといった栄養が含まれています。

日本人が果物を食べる時、健康効果を期待して皮ごと食べる人と、食感を優先したくて皮をむいて食べる人に分かれるのではないでしょうか?この「皮ごと食べるか?むいて食べるか?」という選択肢を持てることが、とても恵まれているということにお気づきの人はあまり多くないと思います。というのも、世界にはフルーツを皮ごと食べるのがご法度とされている国があるからです。さて、少し古い記事の引用となりますが、お隣中国にはこのような事情があります。

北京地元紙の新京報は14日付で「果物の皮をむかないと、後で大変なことになる」と題する記事を掲載した。残留する化学物質で、健康障害が起きる恐れがあると、世界保健機関(WHO)関係者が話したという。

引用元:サーチナ:「果物の皮」 中国では危険!・・・「汚染ひどい」とWHO指摘

中国の農作物の安全性には疑いの目を向けている人も多いかと思うのですが、WHOから指摘を受けているというのは警戒が必要です。

果物が大好きで健康意識の高い中国人

実は中国人はかなりのフルーツ好きということをご存知でしょうか?一日どのくらい果物を食べるか?という世界の国々のデータによると「中国人は223g、日本人は140g」とあります。

日本では若者を中心に果物離れが問題視されており、このデータの日本人の果物消費量140gという数値も高齢者が平均値を引き上げているので、若い世代はもっと少ない数字です。「毎日くだもの200グラム運動」というのを文部科学省と厚生労働省がいっています。でもこう言わないとダメなくらい日本人は果物を食べなくなっているということなんですよね…。

その点、中国人は日本人の約1.6倍もフルーツを食べます。日本人にとっておやつといえば甘いクッキーやチョコレートですが、中国人はおやつに果物を食べるといいます。オフィスの残業食にお菓子を食べながら仕事をするのは日本の会社でよく見られる光景ですが、私が過去に勤務していた外資系企業では中国人社員は「シャリッ」と小気味よく音を立ててりんごやグレープフルーツを食べていたのを思い出します。

中国人は私達日本人が思っている以上にフルーツが大好きなのです。また、彼らは意外なほど健康志向でもあります。訪日する中国人の8割(データ引用元:訪日ラボ)はドラッグストアへいき、化粧品・医薬品・健康食品などの買い物をしているデータもあり、豊かになるほど健康への意識が高まるのは自然な流れといえるでしょう。

「食べろ」という中国の専門家、「食べるな」というWHO

そんな健康意識の高まりを見せる中国人へ自国の果物への警戒を呼びかけているのは世界保健機関(WHO)です。

しかしWHOとしては、中国では果物や野菜の表面に多くの農薬が残留している可能性があり、食用していると健康被害が出る恐れがあるとして、捨てるよう提案するという。

とあります。その一方で、中国国内の専門家は「栄養のためにも果物は皮ごと食べましょう!」といっています。

中国人は大根や果物の皮を食べる場合があり、よく知られている調理法もある。果物などの皮にはビタミンC、ペクチン、食物繊維、抗酸化成分が含まれているとして「健康に有益。捨てて無駄にすべきでない」と主張する専門家もいる。

中国の専門家は「健康のために皮ごと食べなさい」といい、WHOは「危険だから食べるな!!」とこめかみに青筋を立てているわけです。このような構図は日本には見られません。一部において、日本でも野菜や果物に散布する農薬の安全性に注意を呼びかける声がありますが、中国の農薬はレベルが違うようです。

残留農薬が原因で発生する健康被害として、嘔吐や下痢、アレルギーや胃腸や肝臓の障害が考えられるという。

嘔吐や下痢、アレルギーや肝臓障害って害虫ではなく、もはや人にとっての猛毒を塗りたくっているようなレベルに思えます。

栄養のためにも果物は皮ごと、これって幸せなこと

私たち日本人は「栄養のためにも果物は皮ごと食べましょう!」と言われます。これってよく考えたら本当に幸せなことなんですよね。国内に流通している果物の安全性は保証されているわけですから。皮ごと食べて嘔吐や肝臓障害を起こしてしまう果物なんて、日本中どこを探しても販売していません。私たちは果物についていえば、とても安全で豊かな環境にいるということをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。せっかく日本という果物大国に住んでいるのですから、贅沢に皮ごと果物を楽しみたいものです。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。