昨年、スペインを訪れた外国人観光客は遂に8200万人となり、米国を抜いてフランスに次ぐ世界2位の観光国となった。この結果、870億ユーロ(11兆7500億円)の観光収入をもたらしたことになる。
一昨年の訪問者は7500万人であった。毎年、外人観光客が増える傾向にある。特に、昨年はトルコやエジプトでテロが多発し、滞在費はトルコなどに比べ幾分高いが安全に観光を愉しめる国としてスペインが選らばれた。また、ロシアからの訪問客も復活している。
観光客が増加している一方で、カタルーニャは昨年の独立問題が災いして、カタルーニャへの内外からの訪問客が減少している。ライアン航空はカタルーニャのバルセロナとジロナに向かう便のフライト料金は30%の割引をして乗客の減少を防いでいる。
カタルーニャのホテル、ショップ、レストランなどの売上も20-30%程落ちたという。
カタルーニャのホテルの場合、宿泊客の減少が一番顕著だったのは高級ホテルで、昨年12月の部屋占有率は僅か12%だったということである。1月に入っても40%を満たさない状態で、その為、従業員の解雇が始まったのも高級ホテルからということになった。
この様な事情から、外国人観光客にとってバルセロナを訪問するのは今が絶好の機会であるかもしれない。ホテルの宿泊費が大幅に下がっているからだ。高級ホテルが一泊200ユーロ(27000円)を切る料金を出しているのである。一部は部屋の種類によって100ユーロ(13500円)を切っているという。
4つ星ホテルでは100ユーロ以下が相場として定着するようになっている。前回のモバイル展示会(Mobile World Congress)で一泊800ユーロ(108000円)という法外な料金を出したホテルZenit Borrellは現在58ユーロ(7830円)という低料金になっている。3つ星となると、40ユーロ(5400円)あたりが相場になっている。
高級ホテルから始まって、バルセロナのホテル料金はこれまでと比べほぼ半額の値段になっているということである。
2月後半からモバイル展示会が開催されて一時的にホテル料金が上がる可能性はある。しかし、現状ではそれは一時的なものでしかない。独立プロセスの止まないカタルーニャ経済への不安は今後も続くからである。
これまでスペインを訪問する外人観光客の20.5%は必ずバルセロナを訪問するということで、外人観光客にとって一番人気のある都市になっている。しかし、昨年10月から現実経済を無視したカタルーニャの独立への動きから、ホテルの10月の部屋占有率は7%減少し、売上も10%程落ちた。観光客は問題のある都市は回避するのは常成ることである。現在も回復の兆しが見せない状態にある。しかも、昨年末から新年にかけての部屋占有率は40%も減少したというのだ。バルセロナのホテル業界はこの事態を深刻に受け止めている。
特に、スペインの他の地方は訪問者が増加しているということで尚更深刻にならざるを得ない状態だ。
この様な状態が今後も続くようであれば、ホテルの従業員も8%削減する必要に迫られるようになると優良観光連合(Exceltur)は懸念している。
Excelturによると、政治家による独立へのプロセスの影響でカタルーニャ州の観光収入は昨年10月と11月が9.6%の減少、12月は15%の減少ということで、金額にして3億1900万ユーロ(430億6000万円)の減少になっていると指摘されている。