偽リベラル攻撃は本物のリベラルへの激励だ

『「立憲民主党」「朝日新聞」という名の偽リベラル』(ワニブックス)は、保守系の人々に偽リベラル攻撃の材料を与えるものでもある。しかし、それと同時に、偽リベラルといわれた人々には反省の機会と脱出法を示したものだし、本物のリベラルの人々に奮起を促すものでもある。

自民党永久政権と万年野党の社会党という組み合わせでの55年体制にかわる、穏健左派やリベラルが自民党に対抗する勢力に成長して二大政治勢力が交互に政権を取る図式が1990年頃には期待された。

しかし、細川政権もその後の民主党政権も惨めな実績しか残せず、下野後の彼らはポピュリスト化している。それをみて、中国やロシアは、民主主義なんてろくなことにならないと笑って国民たちも妙に納得してしまっている。

そういうなかにあって、私は安倍首相は保守の枠内ながらリベラルな色彩の濃い政策も、時代が要求するものであれば採り入れるなどよく頑張っていると思う。トランプの時代にあって日本の国益をなんとか守る柔軟性もある。

とはいえ。保守陣営には限界も出てくると思うし、おそらく安倍首相の後継者は安倍ロス現象に悩まされるだろう。また、アメリカが民主党のリベラルな大統領になれば、また、別の問題も出てくる。

そんななかで、リベラル路線で現実の諸問題に力強く取り組めるようなリベラルな政治家が、野党からであれ、あるいは、自民党の中からであれ出て、政権選択肢のひとつとなって欲しいものだ。

また、私は朝日新聞が嫌いなわけでない。朝日新聞は大阪が発祥で、良き教育を受けそこそこ経済的にも恵まれているが、権力からは少し離れたところにいて斜交いにものを見たがる京阪神の中産階級が育ててきた新聞である。

私自身が生まれ育った環境もそんなものだから、私も朝日新聞を読んで成長してきたから、どこの新聞よりも感覚に合うのである。

ただ、かつての朝日新聞は、自民党政権に対して野党的なチェックは入れるが、身もふたもない批判に徹していたのではないし、結果は政権の判断が正しかったというような場合にまで執拗に責め立てたのでもなかった。

ところが、最近の朝日新聞をはじめとす自称リベラル系マスコミは、安倍政権憎しだけで動いているように見えるがこれでは、辛くて読んでられない。

八幡 和郎
ワニブックス
2018-02-26