ローマ教皇が中国皇帝に降伏という世界史的悲報

八幡 和郎

フランシスコ法王と習近平国家主席(Wikipedia:編集部)

バチカンと中国の妥協が成立し、国交樹立も間近だという。司教の任命を巡って争っていたが、中国側が司教候補を提示し、バチカンは拒否権を持つに留まるようだということを産経新聞が報じている。

バチカン対中譲歩「隷属」か 司教任命 宗教弾圧緩めぬ習政権と合意へ

当初、バチカンが司教候補を示し、政府が承認する「ベトナム方式」が語られていたが、対中合意では、政府との関係が完全に逆転することになる。

香港カトリック教区名誉司教の陳日君・枢機卿は、「中国政府に忠実な者だけが候補になる。こんな仕組みで、法王にどんな拒否権があるのか」「国家に隷属する教会など、もはやカトリック教会ではない」と訴えている。

カトリック教会の信者ではないが、フランス生活の縁もあってシンパである立場からも残念でならない。世界最大の人口を誇る国でこういう妥協をすれば、カトリック教の変質をもたらさずに済むとは思えないのだ。日本のカトリック教徒もリベラルを自称する人たちもこれに猛抗議の声を上げてしかるべきだ。カトリック教徒の麻生副総理も政治問題として声を上げるべきだ。

日本では聖職者のなり手がなく、韓国人の神父さんが出てきて教会から距離を置くカトリック信者が増えているという。一般論としては、外国人神父がいけないわけでないが、韓国人神父が増えて、それで日本のカトリック教会が反日的になるのは困る。

別に構わないというなら、ぜひ、日本人の神父さんを韓国に送り込んだら何が起きるか実験してはどうか。日韓の微妙な関係を考慮して日韓の神父さんの交流は同数ずつにしてほしいとローマにお願いしても罰は当たるまい。

そして、中国で言語道断の妥協をすれば、いずれ、日本のカトリック教会は中国人だらけになることは目に見えている。

ちなみに、『「立憲民主党」「朝日新聞」という名の偽リベラル』(ワニブックス)でも最後の結びは『中国の覇権にリベラルは立ち向かえるか』だ。アメリカのリベラルはこの世界史的な危機に保守派以上に敏感だが、日本の偽リベラルは中国の皇帝の提灯持ちであることを恥じない。まさに偽リベラルである。

八幡 和郎
ワニブックス
2018-02-26