豊橋市議の長坂です。
63億は8億円の約8倍です。
さて、「一部報道」という名の朝日新聞のスクープ、
豊橋市議会でも、3月6日から始まる議会の一般質問で、先日、豊橋市が控訴した住民訴訟、63億円で売却されたユニチカ跡地の経緯について、
「係争中のため答弁を控えます」
と全て答えるのではないかという懸念があります。
しかし、「傾向」あるところに「対策」あり。
もしこのような連続して答弁が出てきたときのために、準備を重ねたいと思います(ご協力お願いします)。
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まず、「係争中のため答弁を控える」論拠について。
一般論としてはなさそうです。
2013年9月に千葉の館山市議会で次のような質問がされていました。
石井敏宏議員(私):答弁を控えることもあるということなんですけれども、これ行政事件訴訟法にも、あと住民訴訟の規定がある地方自治法にも議会答弁については何も書いていないと、条文がないわけです。それで、答弁を差し控えるということに条文的な法的根拠はあるのでしょうか。鎌田総務部長:法的な根拠でございますが、特に法的な根拠はございません。
他自治体での答弁ですが、法律は全国同じなので、その後、法律改正などがなければ、豊橋市議会でも同じでしょう。
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一方で、答弁を控えられる場合は、次の2つがあるようです。
ひとつは、地方公務員法(第34条)の「秘密を守る義務」に抵触する場合。
もうひとつは、民事訴訟法(第196条)の「証言拒絶権」を理由とする場合。
前者は「義務」で、いわゆる「(公務員の)守秘義務」と言われるものです。
一方、後者は「証言拒絶権」というように「権利」であって、証言者やその親族が、「刑事訴追を受け又は有罪判決を受けるおそれがある」ときや、「名誉を害すべき」とき、と判断するときに、証言が拒否できるようです。
この「証言拒絶権」については、国会で、森友学園の籠池泰典氏が、証人喚問された際に「刑事訴追のおそれがありますので」と何度か使っていました。
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逆に、市長らが答弁をする義務について。
横浜市では、議会基本条例について次のような文言があるようです。
(議会への説明等)第14条2 市長等は、議会又は議員から、市長等が執行する事務に関する資料の提出又は説明の要求があったときは、誠実に対応するものとする。
しかし、豊橋市の議会基本条例では、下記のように「議会」が主語となるにとどまっており、市長等の義務を明言するには、至っていません。
(議会審議における論点情報の形成)第10条 議会は、市長等が提案する政策、計画等(以下「政策等」という。)の水準を高めることに資するため、市長等に対し必要に応じて、次に掲げる事項について明らかにするよう求める。(1) 政策等の発生源(2) 提案に至るまでの経緯(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討(4) 市民参加の実施の有無とその内容(5) 総合計画その他の計画との整合性(6) 財源措置(7) 将来にわたる効果及び費用
また、今回のユニチカ跡地に関する件について、当時の市長判断が、「市長等が提案する政策、計画等」に該当するかが、わかりません。
改めて更に細かい「豊橋市議会会議規則」まで見ましたが、
(一般質問)第60条 議員は、市の一般事務について、質問することができる。
と議員の質問の権利が記されているに留まり、市長などが主語となる条文はありません。
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少し引いて、地方自治法(第121条)では、「執行機関の長等の議会への出席義務」を次のように定めています。
議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。
あくまで出席義務であり、説明義務までは明示されていない。
これが国会だともう少し深まります。
まず、出席については、憲法(第63条)にあります。
内閣総理大臣その他の国務大臣は(略)答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
そして、これについて「誠実に答弁する責任を負っている」という政府答弁が示されています。
憲法第六十三条において、内閣総理大臣その他の国務大臣は、議院で答弁又は説明のため出席を求められたときは出席しなければならないとされており、これは、国会において誠実に答弁する責任を負っていることを前提としていると認識している。
また、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十四条に基づく質問に対し、政府としては、誠実に答弁すべきものと考えている。
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というわけで、調べた結果は一旦ここまでです。
「係争中のため」と何回も答弁を回避されないため、
お知恵を拝借できる方がいらっしゃいましたら、
教えていただければ幸いでございます。
では!
関連記事(長坂ブログ「ユニチカ」問題)
この記事は、愛知県豊橋市議会議員、長坂尚登氏のブログ 2018年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は愛知豊橋・長坂なおと のblogをご覧ください。