以下はあるテレビ報道での一幕である。13日の参院予算委理事会を野党はボイコット。委員長が職権で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などに関する集中審議を14日に行うことを決めたことを受けて、ある野党の国会議員はこの様な発言をした。(参考 3.14 毎日新聞 )
百歩、千歩譲って改ざん文書が(集中審議の)テーマならまだしも、TPPだ。
集中審議のプライオリティを問う意なのだろうが、この発言後、「アハハ」と笑い声をあげた人間がいた。なにが可笑しいのだろう。TPPを審議する優先順位は決して低くなどない。
新聞、テレビ、ウェブ、どのメディアを見てもその報道は財務省理財局による行政文書の書き替え問題一色である。無論、当然だろう。この問題はすでに多くの方々が指摘しているように、日本の行政史に残る「大事件」であり、その経緯についての検証や関係者の責任が追及されることは重要だし、この件に関して、時の政権の姿勢が問われるのもまた然りだ。
しかし、これ以外のすべての国会審議を拒否し、他の重要政策を鼻で笑う野党の姿勢を国民はどう見るだろうか。ましてやTPPは「国民生活に密接に関係」する重要な施策である。
昨年、米国がTPPからの脱退を表明し、他のTPP参加国を驚かせ困惑させた。しかし、その後もオーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,ベトナムの11か国は協定の早期発効を目指して協議を行っている。
確かに米国抜きのTPPはその意義や効果が限定的であるかもしれない。しかし、だからといってそれをないがしろにしていいはずはない。最近、トランプ大統領も再加入について何度も言及しており、今後、米国がTPP参加に舵をきる可能性は十分にあるのだ。
本年3月8日午後3時(現地時間)には、チリ・サンティアゴにおいてTPP11協定の署名式が開催された。これにより日本を含めた参加国はこの協定の迅速な発効と円滑な実施に努力していくことになる。
(参考:内閣官房TPP等政府対策本部)
上記のようにTPPは国内外にとって、まさに「現在進行形」の重要政策なのである。野党の皆さんはその事実を知っているはずなのだから賛成・反対の別も含めた議論はむしろ積極的にすべきであり、TPPについて決して「一笑に付す」様な対応をしてはならない。