福田次官だけがセクハラ加害者か?

福田事務次官は新潮社と争う姿勢を示した(NNNニュースより引用:編集部)

財務省の福田次官のセクハラ問題が世間を騒がせている。
私自身、週刊新潮の記事を読んでみたが、「いやはや…」という感想だ。

ただ、これはセクハラのどの部類に該当するのか疑問を抱いた。
一般に、セクハラは「権限利用型」と「環境破壊型」に区別される。

「権限利用型」のセクハラは、職場の上司等が部下に対して昇級や昇進を匂わせて性的な誘いをしたりするものだ。
拒絶すると職場での待遇が悪化することもあるので、被害者にとっては大変なプレッシャーとなる。

「環境破壊型」のセクハラは、職場で性的な写真を貼ったり、性的な発言をして職場環境を破壊するものだ。
同僚や年下であっても「まだ結婚しないのですか?」と尋ねたり、身体のサイズを話題にしたりすることなどが該当する。

職場内で性的な不快感を抱くものと客観的に認定されればアウトだ。

福田次官は、女性記者に対して、あたかも「権限利用型」の誘いをしているように見える。
しかし、福田次官は女性記者の上司ではないし、属する組織も異なる。

福田次官の一存で、性的な誘いを断った女性の職場での地位が脅かされたり、昇進や昇給が遅れたりすることは(少なくとも形式的には)ありえない。
同じ組織でもなければ、人事評価や人事異動の権限を持った上司でもないのだから。

あくまで私の想像だが、情報が欲しい雑誌等のメディアは、スケベジジイのキーマンに敢えて女性記者を担当させているのではないだろうか?

ハニートラップとまではいかなくとも、情報を得る目的で意図的に女性記者を利用しているとしたら、メディア企業も加害者だ。

スケベジジイから情報を得られなければ社内での評価が下がるようにしているとすれば、こちらの方がはるかに悪質だ。
ローマではないが、スケベジジイは1日にしてできたものではなく、人物像は関係者の間で知れ渡っているはずだ。

そういう人物に敢えて女性記者を当てたとしたら、メディアの方が罪深いように思える。

ケントギルバート氏の著書に、日本の高官たちが中国のハニートラップにひっかかって重要機密を漏らしているという記述があった。
だとすれば、今回の福田次官の事件は氷山の一角かもしれない。

ひっかかる方もどうかと思うが、ハニートラップを仕掛ける側はもっと許しがたい。
女性の人格の尊厳に対する配慮が微塵も感じられない。

荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。