東京のホテルは足りないのか?余っているのか?

内藤 忍

赤坂界隈を歩いていたら、新しいホテルの建設現場を偶然見つけました(写真)。ハウステンボスで開業した先端技術でおもてなしをする世界初のロボットホテルが東京にも進出するようです。

東京には最近新しいホテルが次々と開業しています。その中には宿泊ビジネスとは直接関係ない業種からの新規参入もあります。例えば、アパレルのストライプインターナショナル、ウェディングビジネスのテイクアンドギヴ・ニーズ、無印良品で知られる良品計画などがホテル事業に参入してきます。

不動産業界でも野村不動産が「ノーガホテル」のブランドで東京にホテルを開業するようです。今後、東名阪の3大都市圏に2000室を展開する予定としています。

しかし、ホテルビジネスというのは不動産の中でも最も難易度の高い業態ではないかと思います。極端な差別化があれば別ですが、一般的なビジネスホテルを作って運営を始めても、強力なブランド力や認知度が無ければ宿泊単価は上がりませんし、稼働率も高くなりません。

ここ数年、東京、大阪、京都などでは訪日外国人が増えて、ホテルの稼働率が上がっていますから、ホテルの部屋さえ作れば取り敢えず予約が取れる状況になっています。また、今年の6月からは新しい民泊法が適用されて、いわゆる違法民泊物件が排除されますから、需給の改善要因になります。

今後のインバウンドビジネスの成長を考えて、新規参入するのは短期的には賢明なのかもしれませんが、東京ではオリンピック後の供給過剰懸念があると思います。また、東日本大震災の時のように、外国人需要は環境変化によって需要が激減することもあり得ます。

そのような事態になれば、淘汰されていくのは運営規模が小さく、ブランド力や知名度に劣るホテルです。

資産デザイン研究所が運営しているこの宿泊施設は、スーパーホストのShinobuが高い評価を得ていることや、100平米近い広い部屋と利便性が高い割に格安な料金という戦略が当たって、高い稼働率を実現しています。もし個人投資家が宿泊ビジネスに乗り出すのであれば、大手とは競合しないニッチな分野を見つけて展開しないと勝ち目は無いと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年5月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。