せっかくの技術力を台無しにしてしまう、お粗末な「カスタマーサポート」

最近のOA機器や家電製品のほとんどに、「カスタマーサポート」が付いている。
「よくある質問」に該当しない場合、メールや電話で問い合わせをしてトラブルを解消するものだ。
この「カスタマーサポート」で、私は何度かひどい目に遭った。

ASUSのWi-Fiルーターでは半日以上時間を取られた結果、「初期不良です」と言われたし、キングジムの「ポメラ」もいまだ問題が解決していない。

圧巻は、ソニーのスマートTVブラビアだ。
ブラビアはスマートTVで、テレビ自体がアンドロイド端末になっている。

リモコンで文字入力をすることになっているところ、拙宅のブラビアで突然入力ができなくなった。
あれこれ試行錯誤してもどうにもならないので、「カスタマーサポート」に電話をした。

しばらく指示通りにやったが解決できず、「当方から連絡します」と言われたが一向に連絡が来ない。

6時間以上経過したため業を煮やした私が電話をすると「解決方法が不明です」とのこと。

やむなく、ブラビアのホームページ内で推薦しているロジクールのワイヤレスキーボードを購入して接続したが、今度は日本語入力ができない。

ロジクールの「カスタマーサポート」にメールを送ったら、「本製品は、ウインドウズとMac対応でブラビアには対応していない」との回答。

昨日、再度ソニーの「カスタマーサポート」から電話があったので、ロジクールからのメール内容を話した。

「よくわからない。いまだに原因不明」とのことだったので、「連絡は電話ではなくメールにして欲しい」「もしかして、ロジクールの製品の機種が違うのではないか?」「ロジクール側と調整できないのか?」…..等々、質問と要求をしたがすべて「わからない」「できない」との返答だった。

さすがに頭に血が上った私が、「ということは、御社(ソニー)のホームページは虚偽を掲載し続けているということになる。私は弁護士なので法的措置も検討するし、何より被害が拡大しないようネット上で警告する」と言って電話を切った。

数分後、担当者の上司らしき人物が掌を返したような態度で電話をしてきて「グーグル社の問題でして・・・」と理解不能の言い訳をした。

その数分後、それまで梨の礫だったロジクールからメールが来て「日本語入力アプリをダウンロードすれば使える」とのこと。

(相手によって対応をコロリと変えるという)節操のなさに呆れ果て「グーグル日本語入力」をダウンロードしたが、相変わらずキーボードは使えなかった。

場当たり的に事を収めようとしたのがミエミエだ。

私は、ソニー製品の愛用者で、ブラビアだけでなく、デジカメ、ヘッドフォン、ウォークマン等々多くの機種を愛用している。

製品には満足しているだけに、「カスタマーサポート」のお粗末ぶりは本当に本当に残念だ。
同じ「カスタマーサポート」でも、AppleやAmazonなどは実に気持ちよく的確に対応してくれ、無駄な時間を浪費せずに済んだ。パナソニックや富士通も、(繋がるのに時間はかかったが)指示が的確かつ迅速だった。

いかに技術力のある会社の優秀な製品であっても、最後の詰めである「カスタマーサポート」がお粗末だと顧客離れが生じることは必至だ。

会話の途中、「あなたは私を何時間でも一週間でも待たせてもきちんと給料を貰えますが、私は時間を売っている訳ではないのです」とやんわりと嫌みを言ってしまった。

就業時間で給料が貰えるサラリーマン根性の染みついた「カスタマーサポート」が、せっかくの技術力を台無しにしてしまうことを認識しているのだろうか?

荘司 雅彦
講談社
2006-08-08

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。