社員数、年商、資本金は少ない方が良い

内藤 忍

クレジットカードの入会申込書に未だに勤務先の社員数や年商を記載するようになっている会社があり、不思議に思いました。

社員数が少ないより多い方が安定した大企業。年商が少ないより多い方が大手企業という発想なのでしょうが、何だか逆のような気がします。

同じ経営状態であれば、社員数はむしろ少ない方が固定費の比率が低く、経営としては安定しています。社員がたくさんいる会社は確かに大企業かもしれませんが、図体がでかい分小回りの利いた経営はできません。

また、年商が1億円だ、5億円だと規模を競っている自営業の人をフェイスブックなどで良く見かけます。しかし、大切なのは「年商」という売上規模ではなく「年収」という利益です。

もし、売上が1億円あっても仕入れコストが9000万円かかっているなら、むしろ売上が5000万円で仕入れコストが3000万円の方が優れた経営状態と言えるのです。売上が大きければ、仕事の負荷も高まります。だから同じ利益なら、売上は少ない方が良いのです。重要なのは利益率の高い仕事を選択し、利益率の低い仕事は削っていくという選択と集中です。

また、資本金も大きいよりも小さい方が、資本効率が高いといえます。資本金が大きいのに対して利益が上がっていないということは、資本を上手に活用できていないことを意味するからです。資本金が大きければ良い会社というのも、ちょっとズレています。

このように年商、社員数、資本金などに関して、大きいことは良いことだという幻想は早く捨てた方が良いと思います。

究極の安定した経営スタイルとは、少人数の社員で、原価のほとんどかからない(つまり在庫にならない)商品・サービスを扱い、小資本で無理な広告宣伝もしないで、売り上げが勝手に立っていくようなやり方です。

社員をたくさん雇って、その給与の確保に奔走する。利益の上がらない商品の売り上げを増やすためにエネルギーを消耗し、結局儲からない。投下した自己資金が思ったように利益を生み出さない。そんな状態に陥っているなら、それは今やっている方法や、取り扱っている商品・サービスに根本的な問題があることを意味していると言えます。

ビジネスのルールが変わったのにも関わらず、旧態依然のやり方で続けていれば段々と不具合が顕在化してきます。手遅れになる前に、抜本的なやり方の転換をしなければ、状況はさらに悪くなるばかりです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。