年収1億円目指すなら、サラリーマンより自営業

内藤 忍

日本経済新聞電子版によれば、上場企業で2018年3月期に役員報酬が1億円以上となった役員の数は、538人だったそうです(図表も同紙から)。

トップはソニーの平井社長の27億円。そしてソフトバンクグループの外国人経営者がベスト10に3人も入っているのが目を引きます。目立つことを恐れる金融機関などでは、開示対象にならないように、敢えて役員報酬が1億円を超えないようにしているところもありそうです。

それにしても、日本の上場企業には有名大学を出た優秀な人がたくさん集まっています。その中で、年収1億円を超えている人がわずか500人程度しかいないというのは、如何にサラリーマンの競争が激しいかを物語っていると思います。

私が会社勤務していた時、同じ会社で年収1億円以上の人を見ることはほとんどありませんでした。少なくとも日系の会社には一人もいなかったと思います。ところが、私の周りにいる自営業の人の中には年収1億円を超える人が結構珍しくありません。

自営業で1億円稼いでいる人たちが、もしサラリーマンだったら、果たして500人の中に入ることができるか?恐らく、その可能性は極めて低いと思います。逆に、サラリーマンで1億円稼げない人が、自営業になって年収1億円を超えられるか。こちらには具体例がたくさんあります。

つまり、サラリーマンで1億円よりも、自営業で1億円の方が、ハードルが圧倒的に低い。自営業になれば、誰でも1億円稼げるということではなく、確率的には可能性が高いということです。

それに、サラリーマンの年収1億円は役員を退任してしまえば終わりです。短い人だと1年、2年で終わってしまう場合もあります。せっかく年収1億円になっても続かなければ、高収入とは言えません。自営業もビジネスの浮き沈みがありますから、1億円をキープできるとは限りませんが、逆に2億円、3億円とアップサイドを狙うこともできます。

さらに、日本の税制では所得税と住民税を合わせた最高税率は55%となっています。年俸が1億円でも半分近くは税金に持っていかれてしまいます。上場企業の役員の場合、タックスコントロールに対する制約が大きいでしょうから、額面ほどには手元にお金は残らないのです。

仕事とはお金がすべてではありません。やりがいや楽しいかどうかも重要な要素です。少なくとも私には、会社の組織で仕事をするより、自分で好きな人たちと一緒に仕事をやる方が好きですし、向いている気がします。

サラリーマンをやりながら、私と同じようなことを感じている人は意外に多いのではないでしょうか。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年6月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。