「ルールを守ること」を最優先する日本人

外国人の友人と話していて、自分が日本人であることを意識する瞬間がありました。日本人は「ルールだから」という理由で行動を決めることが多いという指摘です。

例えば、こんな経験があったそうです。

コピーや印刷の代行をしてくれる有名なチェーン店で、ビジネスに必要なパネルを作ってもらおうとして、店員さんにカタカナ3文字の出力をお願いしようとしたそうです。彼は、日本語がまだあまり得意ではなく、パソコンでカタカナの出力をどのようにするかわからないので、紙に書いて日本語のカタカナ3文字の単語を説明し、出力して欲しいとお願しました。ところが、店員さんは「出力の依頼はパソコンでしか受付ません」と頑なに受付を拒んだそうです。

なぜ、手書きだと受け付けしないのか?その理由は恐らく、手書きで依頼して完成した商品のスペルが読み間違えしていたら、トラブルになるから。あるいは、手書きの受付をしてしまうと、入力作業が発生し、業務負荷が上がるからといったことでしょう。

確かに、そのようなトラブルが発生するリスクがあるのは良くわかります。

しかし、パソコンで日本語がうまく使えない外国人が、カタカナ3文字だけを出力して欲しいと依頼している。対面で言葉も通じているのですから、間違えようがない。であれば、混んでいて対応が難しいといった場面でなければ、柔軟に対応してあげても良いのではないでしょうか。

ルールを決めるとそれを意味を考えずに守ろうとするのが、日本人の良いところであり悪いところです。

マニュアル化が進めば進むほど、効率化するかもしれませんが、例外を認めない社会になっていきます。何より問題なのは、仕事をしている人が「なぜこのルールはあるのか?」という疑問を持たなくなってしまうことです。

「ルールなので守る」「決まったことだから変えない」・・・そんな思考停止になってしまうと、何とも窮屈な毎日になってしまいます。自分も無意識のうちにそんな思考に陥っているのに気づき、ハッとすることがあります。

ルールを守るなと言っているのではありません。ルールを守るという日本人の美徳は変えない。でも、そのルールは、なぜ存在するのかという問いかけを忘れないようにし、時には柔軟に対応できるようにしたいものです。

※写真は肉まんくらい大きな小籠包に似たジョージア料理。てっぺんはエビのしっぽのように残すのが「ルール」らしいです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。