あらゆる場面で適用できる「アンナ・カレーニナの法則」

黒坂 岳央

映画『アンナ・カレーニナ』(2012)のポスター(Wikipediaより:編集部)

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

19世紀ロシア文学を代表する文豪、トルストイの小説に「アンナ・カレーニナ」があります。トルストイは小説家であるとともに思想家でもあり、「逆境が人格を作る。」といった数々の名言を残しています。そんなトルストイの生み出した傑作、アンナ・カレーニナの冒頭に印象的な言葉があります。

「幸せな家族はいずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある」

というものです。幸せな家庭を築くためには「夫婦の価値観の一致」や「金銭感覚の一致」など、いくつかの条件を満たすことで実現が可能という考え方です。このアンナ・カレーニナの法則は、幸せな家庭を築く他にも、様々な場面に適用して考えることが出来るのです。

個人的にとても面白く感じ、また幸せな家庭以外にも当てはめて考えることが出来る法則だと感じたので取り上げたいと思います。

成功者は似通っており、失敗者は様々

成功者は似ており、失敗する人は様々です。アンナ・カレーニナの冒頭の一文でもこのことを家庭に当てはめていっています。幸せな家庭を作るには条件を満たす必要があると言います。

  • 経済的に豊かであること。
  • 家族が愛し合っていること。
  • 価値観が一致していること。
  • 親戚や友人関係に問題がないこと。
  • 病気などの問題を抱えていないこと。

これらの条件を満たしている家庭はすなわち幸せであり、そしてどの家庭も似通っています。「家族が一緒に夕食をとって談笑を楽しむ。父親は冗談を言って笑わせ、母親は手料理を振る舞い、子供は日頃の話を親に聞かせる。年に何回か家族旅行に出かけて、親戚などとも交流は円満」といったような具合でしょうか。映画のワンシーンに出てくる「ザ・幸せな家庭」なんかはまさにこのイメージですよね。どの映画でもだいたい似たような感じで描かれています。

その半面、お金はあるけど、家庭は冷めきっていたり、愛はあるけど病苦の家族がいるなど、幸せな家庭への必要条件を満たすことが出来ない家庭は、まさに多様です。そしてカテゴリ入り出来なかった家庭のパターンは多様で、様々な家庭の模様が描かれるわけです。ドラマや映画などで描かれる問題のある家庭は、うまくいかない事情があって多様であるからして、人間ドラマになるわけです。

成功例はどうしてもパターン化したように似通っており、失敗例は実に多様であるということは、言い換えれば、「成功例に入るためには型にハマれ」という事が言えます。

素晴らしい旅と残念な旅

アンナ・カレーニナの法則は、「旅行」にも当てはめて考えることが出来るのではないでしょうか。

私は旅行好きなので、毎年必ず家族旅行に出かけます。国内外様々なところへ出かけるのですが、素晴らしい旅に必要な条件は下記のものがあると考えます。

  • 宿泊先のホテルやレストランが快適だった。
  • 混雑や待ち時間などのストレス要素がなかった。
  • 現地の人との人身交流体験が得られた。
  • 非日常体験を得ることが出来た。
  • 旅行中、家族との関係が良好だった。
  • 天候に恵まれている。

こうしたものです。もしもこれらを全部を満たすことができれば、それは心に残る素晴らしい旅になります。反対に満たすことが出来ない項目が多い場合は、「残念な旅」になるわけです。

例えば、素晴らしいホテルやレストランでゴージャスな体験をしたとしても、道中大変な混雑に見舞われ家族と口げんかをしたら、「あの旅はホテルは良かったが、疲れてケンカをしてしまった」と記憶に残るものになります。

また、家族との関係が良好でサービスなどの質が良くても、ホテルや食事がボロボロだと、「楽しかったけど、食事と宿は残念だったね」という記憶になります。

ですので、旅の計画をするときには上記の条件を満たすものになっているのか?を確認することで、成功する旅のパターンに近づけるのではないでしょうか?

旅行は楽しめなければ意味がありませんから、必要な条件を満たすものでないならそもそも旅にいく意味がありません。ですので、素晴らしい旅になるための条件をあらかじめ洗い出し、その条件を満たすような旅をセッティングするわけです。

例えば、混雑や渋滞を避けるために平日に出発し、ピークシーズンを外す。現地の人との人心交流を得られるような、文化的なオプショナルツアーに申し込みをする。ホテルやレストランはケチらず、品質の高いところへ申し込みをする。といったものです。

…ただそうはいっても、必ずしも何もかも法則通りというわけではないのが人間心理の面白いところです。多くの人が敬遠するどしゃ降り雨旅行の知られざる魅力という記事で書きましたが、気持ちの持ちようによっては、天候に恵まれない場合でも楽しい旅は可能だったりします。

素晴らしい人生の条件とは?

さて、アンナ・カレーニナの法則を素晴らしい人生で考えると、どうなるでしょうか?私なりに考えた答えは次のようなものです。

  • 経済的に豊かである。
  • 知的好奇心を刺激される環境がある。
  • 家族や友人との交流が円滑である。
  • 自分らしく生きている。
  • 自己実現欲求を満たすような生き方をしている。
  • 健康であること。
  • 平和や自由を謳歌していること。
  • 他者や社会に貢献する。
  • 愛する人を幸せにすること。

素晴らしい人生とは、生きていく上で不自由のないお金があり、知的好奇心を満たすような環境を持ち、家族や友人と仲がよく、自分らしく生きていて、自分がやりたいことを実現するようなものです。アンナ・カレーニナの法則に照らして考えると、上記の条件を1つ、また1つ満たすことが出来るようにすることで、成功パターンにハマることが出来ます。

私の周囲にいる「人生は素晴らしい。楽しい」と言っている「成功した人生を送っているという自覚のある人」はみな似通っている印象があります。みんなお金に困っていなくて、友達や家族と仲が良くて…という成功パターンにハマっていると感じます。

あらゆる場面で適用出来るアンナ・カレーニナの法則からは、「うまくいきたければ型にはまれ」と教わった気がします。…まあ、言うのは簡単ですが、実現することは簡単ではないのは言うまでもありません(笑)。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

参加費無料!講演のお知らせ
公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)が主催する、「JAGAT Summer Fes2018」にてネットマーケティングとブランディングをテーマに講演させて頂きます。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。