社畜をやめたい人は起業ではなく、転職をする方がいい

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

Twitterを見ていると、「いずれこんな社畜サラリーマンをやめてやる!」という意気込みとともに、「将来やりたくないことリスト」を作ってアップしている人がいました。

直接引用はしませんが、ざっくり次のようなことが書かれていました。

・満員電車に乗りたくない。

・会社にいくために早起きしたくない。

・くだらない飲み会に参加したくない。

・暑い夏場にスーツを着たくない。

・上司にペコペコしたくない。

こうしたものです。それを見て感じたことがあります。

「サラリーマンが苦しいから起業する」という人は成功しない

起業をする人には色んな動機の持ち主がいます。その中でうまくいかないと思うケースに「サラリーマンをもうやりたくないから起業したい」というものです。

上述したやりたくないことリストの気持ちは、分からないでもありません。でもどうしてもこのように問い直したいと思います。「それって安定した月収を捨てても実現したいですか?」と。

例えば満員電車。本当に嫌で嫌でたまらないなら、始発電車に乗るとか、会社から徒歩圏内、電車通勤可能圏内に住むという行動をすることで別に会社をやめなくても夢は叶います。また、くだらないと思う飲み会は参加をお断りすればいいと思います。

朝ゆっくり眠り、夏場にスーツを着たくなければそういう会社にいけばいいのではないでしょうか?上司にペコペコするのがいやなら、力をつけて上司が一目置く人間になる方が早いと思ってしまいます。

そうしたアクションを取らずに、起業が逃げ道のように思う人は成功できないと思います。なぜなら起業して稼いでいく方が、サラリーマンを続ける生活より茨の道になる部分もあるからです。

起業して成功する人というのは、やりたいことがあってそれは会社に残ってお給料をもらうメリットを捨ててでもすぐに実現したい、という人並み外れた熱い想いを持っていてむちゃくちゃ行動していたり、突出した能力やビジネスセンスに優れた人たちです。決して、「サラリーマンが嫌だから」という理由が成功する要素ではないのです。

社畜でないサラリーマンをやればいいだけ

「社畜がいやだ!」と叫んでいる人は、社畜でないサラリーマンをするという道があることを知ってもらいたいと思います。私が最後に勤めていた外資系企業はものすごく居心地が良かったです。お給料もそこそこ高く、自宅勤務制度があったり、おだやかな性格の人が多く、福利厚生も充実していました。会社も能力の高い人に長く務めてもらうために、いろいろな施策を打ち出しており実際勤続年数が20年、30年という社員もザラでしたね。

私が会社員をやめたのは社畜が嫌だからとか、会社が苦痛だからではなく、肥後庵にフルコミットしたいという理由だけです。私服OKで、嫌な飲み会には参加はせず、かなり自由にさせてもらっていました。ですから、会社には今でも感謝をしていますし、退職する時はとても寂しかったです。また、退職後も一部の人とはいまでも友人としてコミュニケーションを取っています。

「サラリーマンは全部社畜」みたいな考えは好きではありません。なぜならそれは自分の経験だけでしか物事を見ない単眼思考であり、事実ではないからです。社畜が嫌なら、従業員を大事にしてくれる会社にいけばいいだけです。

「働きたくない」という人に起業家は向かない

時々、「もう働きたくないから、サラリーマンはやめたい。起業して自由に生きたい」という人がいますが、それは起業の現実を知らないだけだと思います。

私は今、会社員の時の何倍も働いています。「しっかりとワーク・ライフ・バランス!土日は完全に仕事のことは一切なし!」なんてことは出来ません。一人社長ではありませんから、従業員もいますし取引先やジャーナリストの仕事で編集の方とのやり取りもあります。24時間、365日仕事は動いていますから、片時も休みはありません。

でも私は今の仕事が好きですから特に苦痛はないのです。しかし、「平日就業後や土日はしっかりと休む!」への意識が高すぎる人にはまったく向かない世界だと思います。「働きたくないから起業する」ではなく、「24時間自分のやりたい仕事に集中したいから起業する」という人に向いている世界です。

ある意味、ブラック企業で働く〝社畜サラリーマン以上の社畜〟です。社畜から脱出したいと思う人は起業ではなく、まったり働ける会社を探してそこの従業員になることをオススメします。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。