サウジアラビアが南アのデネルエビエーションの攻撃ヘリロイホックを現地生産するとの報道です。他の報道がないので、また真偽はわかりませんが、十分にあり得るでしょう。
ロイホックは近代化され現在はMk2となっています。ライセンス生産するのであればMK2になるでしょう。
既に何度もご紹介しておりますが、ぼくは陸自の攻撃ヘリ商戦の時にロイホックを推していました。
それは以下の理由があります。調達価格が安い、駆動系はエアバスヘリのスーパーピューマなので、信頼性は高いし、コンポーネントも安い、航続距離は380海里(増漕使用時680海里)と長大でAH-64Dの220海里と比べても歴然で島嶼防衛に有利、整備性、特に前線での整備性が高い。メンテコストが安い、機体規模がAH-64とほぼ同じで、冗長性が高い。自国でのカスタマイズが可能である、FMS調達ではないのでコストを安くでき、部品もスムーズに入るので稼働率が高いなどです。
別にぼくが南アによく行っているから判官贔屓していたわけではなく、合理的に考えれば当然候補に挙げるべきでした。ところが当時の防衛庁は米国製しか頭になく、欧州製攻撃ヘリすらマトモに調べていませんでした。
そしてAH-64Dが調達されたのですが、62機の予定が13機で終わり。運用稼働きは3~4機(飛行可能機は4~6機程度)マトモに部隊として運用できず、単に税金の無駄使いが未だに続いています。
これが輸入だったらもっとマトモだったでしょう。スバルに仕事を振るために無理矢理ライセンス生産し、結果スバルから訴えられるという間抜けさでした。
当時、少なく無い軍オタさん達はAH-64Dの導入を大絶賛しておりましたが、調達が中止になったら、ロングボーレーダーが必要無かったから調達を止めたのだとか、勝手な解釈をしておりました。
仮にそうだとしても、それをキチンと精査しなかった陸幕と技本の当事者能力の欠如でしょう。
ところがAH-64D導入を決定した陸幕の能力に関して疑問を持ちません。自衛隊、防衛省はいつも正しい。悪いのは外国メーカーや商社とでもいうのでしょう。こういう当局礼賛は国益を害するだけです。
では陸自の次期攻撃ヘリでぼくが今回ロイホックを推すかと言えばノーです。国産化しても駄目な日本のヘリ産業を延命させるだけです。完全に輸入するならば検討してもいいでしょう。
Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
自滅する国産機関銃 輸入へ切り替え
■本日の市ヶ谷の噂■
沖縄の米軍基地反対運動に影響を与えているのは、実は中国ではなく、北朝鮮。主体思想を信奉する集団が多し、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。