独代表レーブ監督「私は傲慢だった」

ドイツのサッカー代表ヨアヒム・レーブ監督(58)は29日、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で予選落ちした後、初めて公式の場で敗北の原因、今後のチーム作りなどについてその見解を語った。

前回W杯ブラジル大会で優勝したドイツ代表はロシア大会でも優勝有力候補とみられてきたが、予選Fグループ最下位(1勝2敗)という恥辱の結果に終わった。レーブ監督はその直後、「敗北の原因などについて慎重に分析したい」と述べ、ロシア大会敗北の原因などについて、公式の場で見解を表明することをこれまで避けてきた。

▲ロシア大会の敗北について語るレーブ監督(2018年8月29日、ミュンヘンの記者会見で、DFB公式サイトから)

ロシア大会開幕から2カ月が経過した。レーブ監督はミュンヘンでの記者会見でドイツ代表の敗北の原因などについて語った。

レーブ監督は、「ロシア大会の結果は自分にとってもチームにとっても大変なショックだった。弁解の余地がない」と述べた。

①前王者としてわれわれはその振る舞いから試合運びまで余りにも傲慢だった、ある意味で自己満足に陥っていた。
②エジル選手(29)の問題をわれわれは過少評価してきた。この問題はチーム全体のエネルギーを奪った。

レーブ監督は、「自分の最大の間違いは、ボールを支配し、相手に攻勢をかける試合運びで予選を軽く通過できると考えたことだ。条件が問題なければ、危険を冒しても大きな失敗はないと考えていた。残念ながら、ロシア大会ではその条件がわれわれに味方しなかった。自分は傲慢だった。自分が考えているやり方を更に完全にしようと思った。2014年大会のように守りと攻撃のバランスとれた安定したチームを作ることが今後、大切となる」と述べた。

②では、エジル選手が独サッカー連盟(DFB)会長を名指し、彼の人種差別主義を批判し、大きな社会問題にまでなった。ドイツのサッカーナショナルチーム代表の1人、MFメスト・エジル(Mesut Ozil) が7月22日、ドイツ代表を辞任すると表明し、その理由として「DFB内の人種差別主義( Rassismus)と 尊敬心のない無礼な言動」を挙げたことが明らかになると、DFBばかりか、ベルリンの政界にも大きな波紋を投じている。

ことの発端は、エジルともう1人のトルコ系代表、MFイルカイ・ギュンドアンが5月中旬、大統領選挙戦中のトルコのエルドアン大統領と会見し、ユニフォームをもって大統領と記念写真を撮ったことだ。それが報じられると、「ドイツ代表の一員として相応しくない」という批判が高まった。2人をロシア大会に連れて行くのはよくない、といった声すら聞かれた(エジルは現在、英プレミアリーグのアーセナルFCに所属)。

レーブ監督は、「我々の最大の関心事はW杯に集中することだった。エジル問題は我々のエネルギーを奪っていった」と間接的ながらエジル選手を批判する一方、「チームには人種差別主義的発言はなかった」と説明。エジル選手のドイツ代表の辞任表明については「われわれにもエジルにとっても心痛い決定だ」と語った。

レーブ監督によると、エジルはレーブ監督に辞任表明を直接伝達しなかった。監督が何度も彼と話そうとしたが、連絡がつかないまま終わったという。

ドイツ代表は9月6日、ロシア大会のチャンピオンのフランス代表と対戦する。その3日後、ペルーとの試合が控えている。レーブ監督はフランス戦には17人のW杯参加選手に、3人の新たな選手、DFティロ・ケーラー(パリ・サンジェルマンFC所属)、MFニコ・シュルツ(TSG1899ホッフェンハイム所属)、MFカイ・ハフェルツ(バイエル・レバークーゼン所属 )を呼ぶ一方、ロシア大会前に代表から落ちた3人の選手、MFレロイ・サネ(マンチェスター・シティ所属)、FWニルス・ペーターゼン(SCフライブルク所属)、DFヨナタン・ター (バイエル・レバークーゼン所属) を再び代表チームに加えた。

レーブ監督の契約は2022年まで。同監督のもと、ドイツ代表がこの厳しい期間を乗り越えて、新たな出発をなすことができるか。その意味で、歴史的敗北を喫したドイツ代表が新たな選手を加え、ロシア大会覇者フランス代表に対しどのような試合(独ミュンヘン開催)を見せるか注目されるわけだ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年8月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。