今回は、「重言」(重ね言葉)について解説します。「重言」(重ね言葉)とは、同じ意味の言葉をくり返しつかうことです。本人も気が付かずに使用しているケースが多く、話し言葉をそのまま文章に起こした際に起こりやすい現象です。「重言」のなかには、つかわれる頻度が高く一般的とみなされているものがあります。
たとえば、手紙で「お体をご自愛ください」と書く人がいますが、これは同じ意味の言葉をつなげているので「重ね言葉」になります。「ご自愛ください」のみで十分なのです。
短い文章ならそれほど気にならないかもしれませんが、長い文章にはいっていると違和感を覚えるようになります。回りくどく、高圧的な印象を与えてしまうので注意が必要です。意味を重ねるので強調表現として解釈される場合があるからです。
「重言」の種類はいくつかありますが間違えそうなものを紹介します。
・営業の目標達成率は、「いま現在」どんな感じ?
・運転手さん、そのまま「後ろにバック」して
・オフィスを出るときには「電気の電源」に気をつけて
・よかった、「内定が決まって」ホッとしたよ
・投票の結果は「過半数を超えて」いたよ
・今回の提案は当社の命運がかかっている。「一番ベスト」な方法を選ぼう
・ゴルフの「平均アベレージ」を教えてください
・明日の「披露宴のパーティ」にはなにを着ていきましょう
・今日の「昼食のランチ」はなににしましょうか
・昨日はサプライズでね。「思いがけないハプニング」があったよ
・社長に「すべてを一任」します
・今日は提案主旨書を用意して。「必ず必要」だから
・映画の「最後のラストシーン」が感動的でした
テレビ番組でも普通につかわれている場合がありますが、これらは間違いです。文章を書き上げた際は、重言になっていないか見直しましょう。すでに、誤用ではなく一般化したものもありますが、フォーマルな文章では避けたほうがいいでしょう。
尾藤克之
コラムニスト