受験に必須の「捨てる勇気」を維持するのは、案外難しい

入学試験にしろ資格試験にしろ、試験対策として極めて重要なことは「捨てる勇気」を持つことだ。

人間は、将来の時間に関して甘めに見積もってしまう傾向がある。
「論文を完成させるのにどのくらいの期間が必要か?」と大学院生に尋ねた心理学実験では、実際に要した日数が当初の見積もりの2倍近くになった。

これを「プランニングの誤謬」という。

試験当日までに膨大な時間と日数があると思っていても、現実に計算すると驚くほど少ないものだ。

試験に出題されない分野や、出題されても合否にほとんど影響のない分野は、思い切って「捨てる勇気」が必要だ。

Himalaya 音声配信でも話したが、大学受験の時、英国社の3科目受験にも関わらず「漢文」を完全に捨てて合格した友人がいた。

合格には捨てる勇気が必要(荘司雅彦のコミュニケーション講座)

私自身、漢字の書き取りのような配点の低いものは一切勉強しなかったし、当時の東大日本史では山川の教科書に書かれていない知識は不要だったので、教科書以外の知識は一切勉強しなかった。

理屈では「捨てる勇気」がわかっていても、模擬試験の偏差値という邪魔者が入ってくる。

入試の一般的な模擬試験では、レベル1からレベル10まで難易度や範囲が満遍なく出題される。
レベルや範囲が偏ると、受験生の正確な立ち位置が把握できなくなるからだ。

レベル1の問題ばかりを出題したら、受験生のほとんどが満点近くになってしまう。
逆に、レベル10の問題ばかりを出題したら、(一部の優秀な受験生を除いて)ほどんどの受験生が点数を取れなくなる。本試験目指して「捨てる勇気」が試されるのは、この一般的な模擬試験の結果だ。

自分が目指している学校では絶対に出題されない分野でも、模擬試験では出題される。
捨てた結果、偏差値が悪くなり、教師や親に責められる。
ここが一番難しいところだ。

高校時代の私は、「本試験に出題されないから捨てた。落ちたら浪人する」と開き直っていたが…。
しっかり勉強してどんな問題でも対応できる一部の秀才を除き、「捨てる勇気」は思いのほか難しいものだ。

荘司雅彦
講談社
2014-02-14

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年11月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。