【東京新聞】<税を追う>歯止めなき防衛費(9)米軍再編費、要求ゼロ 膨らむ予算「裏技」駆使
「要求額を見掛け上、小さくしていると批判が来ることは分かっていた。でも、そうせざるを得ないほど、後年度負担がのしかかっている」。防衛省の幹部が正直に打ち明けた。
2019年度予算の概算要求は、本年度当初予算から2.1%増となる過去最大の5兆2986億円。防衛費の概算要求上限のぎりぎりの額だが、実はそれでも足りず、本来盛り込むべき費用を外していた。本年度2200億円を計上した米軍再編関係費だ。
実はこのあたりの話もぼくが取材班に教唆したことです。今回こういう報道がやっと新聞に出たかという感じです。
来年度の防衛省概算要求から米軍関費用が意図的に削除されていたことを報じたのはぼくの知りうる限り、田岡俊次氏だけでした。
またぼくは長年、来年度予算と当年度の補正予算が一体化しており、概算で落ちた装備の「買い物」や、本来本予算で買うべき装備が補正で買われている実態を報じてきました。これは記者会見でも質問してきましたが、記者クラブメディアはそれを黙殺し、殆ど報じて着ませんでした。やっと東京新聞や日経が昨年ぐらいから報じはじめました。
毎度のご案内ですが補正予算は本来成立時に予測し得なった事態、すなわち不測の事態が起こった場合にその費用を手当するものです。今年の大水害の出動に関する費用やそれによって損耗した装備や需品の充足、あるいは為替の急激な変化による輸入装備品や燃料の高騰などに対するものです。
輸送機や防弾チョッキ、政府専用機を買うためのお小遣いではありません。
本来こういう話は新聞やテレビが概算要求や補正予算発表時に報道、批判すべきことです。
それをやってこなかった記者クラブは政府とグルになって、事実を隠蔽してきたと批判されても仕方ないでしょう。
ですから国民は「過小申告」防衛予算が全部だと信じて、その数字をもとに議論をするわけですこれを世論操作といわずして何でしょうか。
今後このような記事が増えることを心より望みます。
◼本日の市ケ谷の噂◼
防衛装備庁は海外見本市「仮想敵」の情報収集に全く興味がなく、中国語、ロシア語のできる要員が一人もいない、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年11月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。