政治学者に書けない選挙の裏面「ドキュメント候補者たちの闘争」

これは井戸まさえさんにしか書けないな、と思いながら、一昨日の井戸さんの出版記念パーティで頂戴した「ドキュメント 候補者たちの闘争ー選挙とカネと政党」(岩波書店)という本を読み始めている。

井戸 まさえ
岩波書店
2018-12-14

 

井戸さんは一応政治家だが、私の中ではどちらかと言うとジャーナリスト兼社会運動家で、本業は文筆家だと思っている。一応県会議員も衆議院議員も経験されており、昨年の衆議院選挙にも出馬されていて、何度も選挙を経験されているから選挙のことは隅々までご存知の方である。

しかし、この本はいわゆる政治家が書いた本ではなく、どなたか政治家のゴーストライターが書いた政治家の宣伝本でもない。

昨年の衆議院選挙に立候補し、苦杯を舐めた井戸さんが、ジャーナリストの目でもって昨年の衆議院選挙の実相を冷静に観察し、自らの体験にとどまらず、多数の関係者にインタビューしたり、各種資料を読みこなして、努めて客観的かつ冷酷に記述した、政治や選挙の裏面を抉る政治史に残る一級資料だと言っていいだろう。

私が知っていて、絶対に書かないこと、書けないことなども率直に書かれている。

面白いかどうかはともかく、選挙の実相を知るためには欠かせない貴重な一冊である。

まだ、私もすべては読了していない。
読みながら、時々切なくなる。

政治学者の方にはこういう本は書けない。
立候補したことがある人でないと、こういうドキュメントは書けない。

政治や選挙を科学するためになくてはならない貴重な一冊になるだろうな、という予感がしている。
関心のある方は、お読みになった方がいい。

本当のことを知って国政選挙に挑戦する意欲を失う人もいるんじゃないかな、と思いながら、とりあえずこの一文を記しておく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。